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ブリヂストンオープンゴルフトーナメント 2007
森田徹「声援を、パワーに変えたい」
特に、主催者推薦で出番を得た森田にとってはこれがまさに正念場だ。現在、賞金ランクは100位。シードが得られる上位70人に食い込むには、今週の結果が何より鍵を握る。
そんな重圧に加え、所属コースというプレッシャーもある。
研修生時代から世話になっているのは会場となる袖ヶ浦コースではなく、同クラブの新袖コースだが、休業日にラウンドさせてもらうなど、慣れ親しんだ舞台であることに変わりない。
結果を残して当然という周囲の目。
「だからこそ、難しい」と森田は言う。
先月1週間のオープンウィークはスタッフとして、コースの月例会を手伝った。朝はスタートティで進行係。昼はクラブハウスでスコア集計。
その中で、何人のメンバーさんから激励を受けたことだろう。
「来月のブリヂストンは頑張ってよね」。
そう声を掛けられるたびに、背筋が伸びる思いがしたものだ。
「そういう声を、プレッシャーではなく、パワーに変えないといけない」と言い聞かせている。
同じ所属の井上がマンデートーナメントから勝ちあがり、ABCチャンピオンシップでツアー初優勝をあげたのは2004年。もちろん、当時も大いに刺激を受けたが森田にとって、さらに衝撃だったのは今年9月。
ANAオープンで、未シードながらツアー初優勝をあげた篠崎紀夫だ。
篠崎は私立千葉経済高卒業と同時に、サッカーからゴルフに転身。そのとき共通の友人を介して知り合って、まだ右も左も分からなかった篠崎に、ゴルフを教えたのが森田だった。
以来、同じ千葉県出身ということもあり、互いに励ましあいながら頑張ってきた。
「彼の苦労も、全部見てきたから」。
そんな同期の大躍進に、勇気づけられた。
「誰にでも初シードや初優勝の壁を打ち破るチャンスはある」と、改めて痛感させられたものだ。
今大会は97年のデビューから数えて4年ぶり、3度目の出場だ。
確かに、所属プロとして期待に応えたり、シード権を狙うこともとても大事なことだ。
しかしそのことばかりこだわって自分らしさを見失い、本当の実力を発揮できないことこそ悔しい。
チャレンジトーナメントで戦った昨シーズン。「精神修行と、子供との時間を増やすため」と7歳の長男・翔くんと、少林寺拳法を習い始めた。
道場に入る際の心得として、まず最初に説かれるのが「脚下照顧(きゃっかしょうこ)」。禅宗の言葉で「まずは自分自身を省みる」とか「自己を見つめなおす」という意味がある。
日ごろの“修行”の成果を発揮して、今週こそ悔いのないプレーがしたい。
森田徹
1969年12月17日生まれ。千葉県の成田市出身。
ゴルフを始めたのは13歳のとき。よく遊びに行く近所の公園でいつもゴルフをしている友達がいて、「一度でいいから打ってみろ」と言われて、たちまちハマった。9番アイアンで軽く振ったボールは高々と舞い上がり、「おまえ絶対に素質があるよ!」と、親友に絶賛されてその気になった。
市内の練習場で出会った欧州シニアの賞金王の海老原清治に師事し、97年にプロ転向。
昨年のチャレンジトーナメントは16試合に出場してトップ10入り7回。“無冠”ながら、賞金ランクは4位につけて、今季ツアー前半戦の出場権を得た。
身長168センチ、体重65キロ。