Tournament article
サン・クロレラ クラシック 2007
原口鉄也「ほんとうに意識するのは残り2ホール」
しかし、それでも原口の心はピクリとも動かなかった。「もっと伸ばそう」などと色気を出す余裕などなかったからだ。
今週から、高校時代の同級生でコーチの中島規雅さんを帯同している。「同級生だから、平気でダメ出しされて・・・」。もともと、インパクトで手首を使いすぎるクセがある。指摘されて修正しているが、まだそれに慣れないせいだろうか。この日は、「ショットが時々とんでもない方向へ飛んでいく」。
まして、この大雨だ。
「もともと、コースも難しいからスコアを考えるヒマなんてなかったんです」。
そんな無欲のゴルフがかえって良かった。
「ミスにも、ナーバスになる余裕もなかったから」。
夢中でコースと向き合って、通算3アンダーは2位タイ浮上。
本人も、「思いがけない」最終日最終組だ。
以前の自分なら順位に一喜一憂し、ミスにいちいち怒っていたという。
「今までの精神状態なら、今日のスコアはなかったと思う。ナイスパーでも、納得できない自分がいたから」と、振り返る。
ひどい椎間板ヘルニアを患って、ゴルフはおろか普段の生活さえままならなかった5年前。
思い切って手術に踏み切り、試練を乗り越え、みごと昨年シード復活をとげてから原口は変わった。
以来、口癖となったのは「平常心」。
ツアー初優勝をかけた最終日こそ、その気持ちを貫きたい。
意識するのは、「明日の残り2ホール」と、心に誓った。