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つるやオープン 2007

今週の注目選手<田中秀道・2001年大会チャンピオン>

“小さな巨人”が世界へと羽ばたいていったのは、このつるやオープンでのツアー通算9勝目が、きっかけだったといっても過言ではない。

あれは、2001年大会。
最終日の1番でいきなりOBを打ちながら執念のゴルフで、5打差からの大逆転優勝をあげた。
前年の2000年大会。
プレーオフ4ホールの末に、豪州のリチャード・バックウェルに敗れたリベンジを果たし、地元・関西のゴルフファンを大いに喜ばせた。

その優勝スピーチで、田中は高らかに宣言したものだ。
「ここ関西から、世界へと旅立ちます!」。
その言葉どおり、同年末には米ツアーのQスクールに挑戦。夢と希望で胸を一杯にして、渡米した。

あれから6年。
いま、あのときのようなまばゆいばかりの輝きはない。
田中は言う。
「いまは、バーディではなく、ダブルボギーを必死に取る秀道を見てもらうしかない」。
人一倍のプライドと、ど根性と、負けん気を何よりの武器とした男から出てくる言葉は、苦渋に満ちていた。

パワーヒッター揃いのアメリカで、全身にムチ打って戦ってきた。
腰、背中、肩とあらゆるところに痛みを抱えて今季、とうとう無念の帰国。
後遺症を引きずったまま、2007年の開幕を迎えた。
先週は、復帰元年の第一戦で、国内では2001年の日本プロ以来となる屈辱の予選落ち。

帰国を待ちわびていた大勢のファンの口から思わず洩れたため息は、もちろん本人の耳にも届いている。

「…期待に答えたい気持ちで一杯なんです」と、田中は言った。
「僕が日本ツアーを盛り上げたい」とも。
しかし、「そんな現実とのギャップが切なくて…」。
思うようにならないじれったさに悲鳴を上げているのは、自身の体だけではなかった。

しかし、田中はへこたれない。
そんなことで、くじけてしまう男ではない。
「時間はかかると思う。でも、どんなに格好悪くても投げやりなプレーはしたくない」。
声援を力に変えて、いつか必ず輝きを取り戻す。
思い出のこの舞台が、そのきっかけになれば最高だ。

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