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長嶋茂雄 INVITATIONAL セガサミーカップゴルフトーナメント 2007

伊澤利光「明日も、今日と同じスイングをするだけです」

ボギーなしの66をマークして、即座にうなづいた。「ええ。今日のゴルフは完璧ですね」。その表情にははっきりと自信がみなぎった。象徴的だったのが、540ヤードの13番だった。

会場のここザ・ノースカントリーゴルフクラブのパー5はどれも長く、チャンスといえるホールがない。初日は、パワーヒッターの伊沢でさえ「このコースに2オンが狙えるホールはない」と、言い切っていた。

しかし、この日3日目は違っていた。
残り232ヤードの池絡みの第2打で、迷わず握ったのは3番ウッド。
躊躇なく振り切ったその瞬間に、普段ほとんど感情をあらわにすることのない伊沢から、大声が出た。

「GO!!」。

あとで本人も、「はっきりと覚えてないけど、確かに何か言っていましたね」と、照れ笑いを浮かべたほど。
魂の叫びに押されるように、ボールは軽々と池を超えてグリーン右横のラフに落ちた。
勇気あるトライは、今のゴルフに自信があるからこそ。
アプローチで1メートルに寄せてこの日6つ目のバーディは、長嶋茂雄賞に14ポイント目を加え、通算3アンダーは4位タイに浮上。

75を打って24位タイに沈んだ前日2日目。
先週のウッドワンオープン広島の最終日にも使ったシャフト6Xのドライバーでプレーした。
雨交じりの強い風と、体感気温10℃を下回る気温は「イギリスの天候と似ていると思ったから」。
次週、自身5年ぶりの全英オープンを控え、クラブセッティングで試行錯誤が続ける伊澤は、最後の調整段階に入っていた。

いくら伊澤といえど、破格といっても良い硬さのシャフトもまた、リンクスコース特有の強い風と、硬い地面に対応するため、用意されたものだった。
「でも、昨日はダウンスイングでタイミングが合わず、右へ右へ」。
せっかくの“試運転”も失敗に終わり、この日はもとの3.5Xに戻した途端の好スコアだった。

これで、迷いは吹っ切れた。
「現地に行って、迷っていても仕方ない。一昨日も、今日もこのクラブで自信を持って打てたし、来週もこれで行きます」。

そうと決まったら、翌最終日はただ優勝だけ見つめて戦える。
もし今週、勝てば優勝賞金3000万円を加え、史上5人目となる生涯賞金10億円を突破する。
本人は、「そんなことは全然、意識していない」と言うが、2004年の全米オープン以来となる“メジャー復帰”直前の快挙達成が、何よりの餞別となることは確かだ。

「明日も、今日と同じようなスイングをすればいいだけ。感じも良いので、明日も6アンダー出せるように頑張りたい」と、いつになく力を込めた。

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