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東建ホームメイトカップ 2008

石川遼が首位を死守

ツアーデビュー戦の決勝ラウンド初日を単独首位で迎え、16歳のプレー見たさに9000人近いギャラリーが駆け付けた。石川が移動するたびに、あたりは「遼ちゃん」「遼くん」の大合唱。感極まって「大好き〜っ!」と絶叫するファンもいた。
「1番でティショットを打ったあとにチラッと後ろを見たら、行列が物凄くて僕もビックリした」。
背中に突き刺さる無数の期待。
「緊張していたかどうかも覚えていないくらい。何も考えられない状態でした」と振り返る。

ましてこの日は朝から強風が吹き荒れた。
瞬間最大風速は10.6メートル。
百戦錬磨のプロさえ手こずる難条件で、風に負けない低い球を打とうとして、ショットが乱れる場面もあった。

それでも冷静な判断力と、好調のパッティングでピンチをチャンスに変えるしたたかさを見せた。
1月にプロ転向してからというもの、さまざまな行事に追われ、寝る間もないくらい多忙な日が続いた。
その中で、懸命に時間をやりくりして練習に練習を重ねてきた。その日々がピンチから救ってくれた。
「パットが入らなければ、今日は80くらい打っていたかもしれない。今日はどう考えてもパットのおかげです」。

ムービングデーと呼ばれる土曜日に選んだのは、黒を基調に赤をアクセントにしたウェア。バイザーとベルト、ポロシャツのラインに使われた赤は、「大事な日と思った日に選ぶ色」だ。
「今日はあっという間に過ぎた」と、16歳とは思えない精神力で試練の日を乗り切った。
重圧もはねのけて、最初の公約をいきなりこのデビュー戦で果たしてみせた。

開幕直前に話した。
「目標は最終日、最終組。またはそれに近いところで回ること」。
そしてそれは、アマチュア時代を通じて生まれて初めての経験となる。

3日目以上のプレッシャーが予想されるが、石川はどこか他人事のように言った。
「すごい緊張感の中で、回れますね」。
そして、どこか楽しげに「明日も、たくさんお客さんが来てくださるかなあ…」と、つぶやいた。
大勢の前でプレーするほど、なぜか実力以上のものを発揮する16歳は「15番ホールまで、スコアのことは考えない」と言った。
「優勝を意識するのは最後の3ホール。期待してくださる方たちのためにも、明日は最後の最後まで粘ってやる。そうでないと、やっている意味がない」。
奇跡も、2度も続けば奇跡でなくなる。

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