Tournament article
バナH杯KBCオーガスタ 2008
甲斐慎太郎「優勝できたら最高です」
また16番では、8メートルのパーパット。ティショットが木の裏。セカンドは飛びすぎて、OBギリギリのところで運良く止まった。芝のないライは、木の下をくぐるアプローチで寄せきれなかったが、これをしのいだ。
これが2つのラッキー。
その分、13番で3番アイアンで刻んだ第2打を木に当てたあと、ボールを見失いロストボールの不運もあって、ダブルボギーで「ちょうど帳消し」。この日70の通算5アンダーに「スコアは不満足だけど、順位は満足」。2位タイに、あっけらかんと笑った。
宮崎県出身の九州男児は、大会の地元・福岡県の沖学園高校出身だ。
初出場を果たしたツアーも、同校の3年時に出た今大会(1999年)だった。
大会初日は大雨で中止になり、仕切り直しの第1ラウンドで16位タイにつけ、地元紙の一面を飾りながら、予選落ちをした。
「そんなことがあっただけに、とても思い入れのある大会なんです」。
会場に来れば応援してくれる人も多く「声をかけてもらえることが、力になっている」という。
今季は早々に初シード入りを決め、7月の全英オープンでメジャー初出場を果たした。
帰国後は「なんとなく気が抜けてしまって・・・」。
海外を含めた連戦続きに、身重のため実家の長野県に里帰りしている妻・智香さんに会えない日々が続いた寂しさも加わって、中盤はやや低迷したが、いよいよシーズンも後半を迎え、最初のピークに持ってきたのが今大会だった。
ツアーで唯一の高麗グリーンを警戒し、「50センチでもドキドキする」とこぼしつつ、賭ける思いは人一倍だ。
智香さんが来月に出産を控え、「それまでに1円でも稼がないと、という気持ちです。もしここで優勝できたら・・・最高ですよね」。
大きな目をくりくりと動かした。