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日本オープンゴルフ選手権 2008

大田和桂介(おおたわけいすけ)くんがローアマチュア賞

予選通過を果たした2日目の夜。父・勇さんに電話で言われた。「おめでとう。でも、浮かれるな。4日間、自分のゴルフをしっかりやり抜くように」。

その言葉を深く胸に刻んで、この日本一決定戦を戦い抜いた。

今大会は優勝者のほかに、もっとも良い成績を残したアマチュア選手にも栄誉が与えられる。
この「ローアマチュア賞」をかけて、毎年熾烈な戦いが繰り広げられるが今年は2日目で勝負が決まった。

出場16人中、アマとして予選通過を果たしたのは、大田和くん一人だけだったからだ。
ライバルはみんな、この超難コースを去ったが、「これからは自分との勝負。気持ちだけは自分に負けないように、打ちのめされても耐えてチャンスを待とう」。

たとえラフに入れても、クサったりゲームを投げたホールはひとつもない。
グリーンを外しても「僕はアプローチが得意だから」と、自分に言い聞かせて懸命に堪えた。
19歳という年齢にしては珍しく高校2年から握った長尺パターは、「人からどう思われようと、これならスコアが出せるというものを僕は使う。特に短いパットでスムーズに手が動く」。
こだわりの1本に、何度助けられたことだろう。

結局、通算30オーバー打ったが、72ホールを丁寧に戦い抜いて、充実の笑顔がこぼれ出た。
「まだまだ、僕は未熟だし足りないところはありますが、ここで4日間プレーしたことは僕のゴルフ人生において、非常に大きな意味があると思います」。

4日間で1イーグル、20バーディの大量スコアで制したのは8月の日本学生選手権。
学生NO.1の座を射止め、この日は最高峰の舞台でアマチュアNO.1の座についた。

今大会ではアマチュアが、総合のチャンピオンよりも先に表彰されるのが習わしだ。
銀皿と、NHK杯と、偉大なアマチュアの名を冠したボビージョーンズ杯を受け取って頬を染めた大田和くんに、表彰式で肩を並べた日大の先輩・片山晋呉が言った。
「頑張って僕について来い!」。
その手をしっかりと握り返した大田和くんは、笑顔で大きく頷いた。

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