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マイナビABCチャンピオンシップ 2008

石川遼「実力を全部出すつもりでやる」

イライラは、ピークに達していた。14番でボギーを打って、この日イーブンパーまでスコアを落としたときだ。「思い切りスイングできていない。スイングのリズムも速い」。
そのことで、頭がいっぱいになっていた。
「ひとつのことしか見えてなかった」。
我に返ったのは、15番のバーディパットだ。
奥から6メートルは、ショットのことに気を取られ「グリーンの速さを忘れていた」。

スピードを表す14フィートは、あのオーガスタにも匹敵すると言われる。
ガラスのグリーンで、下りスライスのタッチを合わせることすら怠って強めにヒット。
打った瞬間、「あれは寄せに行くべきパットだった」。
ヒヤリとしたが、幸いにも最後はストレートのラインに乗ってカップイン。
もし外れていたら、悪い流れを断ち切れないままだっただろう。

「大きな1打だった。あれがなければ16番もイライラしたままで、17番はティショットを曲げていたと思う」。
難易度の高いその2ホールをパーでしのいで笑顔を取り戻した。
18番パー5をバーディで締め、通算6アンダー単独3位は5位につけた開幕戦・東建ホームメイトカップ以来、今季2度目の最終日最終組。
「ひそかに狙っていたんですよ」と声も弾む。

しかしあのときは、ツアーデビュー戦。
「技術もないし、実力もない。自信もなかった」。
自分がどれほどのものかも見えず、半信半疑だったが今は違う。
単独2位につけた日本オープンの最終日からこの日まで、計8ラウンドで一度もオーバーパーを叩いていない。
先週のブリヂストンオープンでは12位タイにつけ、ツアー最終戦「ゴルフ日本シリーズJTカップ」の出場権も狙えるランキング(19位)につけていることも追い風だ。
怖いものは何もない。

石川の挑戦を受けて立つ深堀は「遼くんは前しか向いていないが、彼の年齢ではそうあるべきだし、そういう姿を僕らやファンにしっかりと見せてくれている」と評価したがそのとおりだ。

期待を裏切らない17歳は「明日は、自信を持ってプレーする。実力を全部出すつもりでやる」。
言葉にも、勢いがある。

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