Tournament article

三井住友VISA太平洋マスターズ 2008

今田竜二が3位タイ浮上

石川に「最終日一緒に回りましょう」と言われて今田も笑顔で手を握りかえした
スタート早々の1番で予選通過も難しい位置まで落ちた。左の林に打ち込んだティショットはボールの真後ろに木があって「クラブに当てられる状態」にすらなかった。
しかしそれにもかかわらず「欲をかいた」。

「トップ気味に打ってラフまで出していれば良かったんですけど、それではピンが狙えない。サンドウェッジでフェアウェイまで戻そう、と」。

本人も認めた無謀な攻めは案の定、脱出に失敗。ダブルボギーに暗雲たれこめた。

しかし中学2年で単身渡米。自ら厳しい環境でゴルフを覚え、腕を磨き、今年念願の初優勝を飾った。日本人ながら、日本のトーナメントから招待を受ける“逆輸入選手”がこのままスゴスゴ帰るわけがない。

「パー5があと4つあることは分かっていたのでまあ、あまり焦らずに」。
大ピンチにも表情ひとつ変えず、淡々とその後、怒濤の8バーディを積み上げた。

自身6試合目の日本ツアーは連続の予選通過記録を更新したばかりか終わってみれば、単独首位でスタートした同組の石川遼を1打上回る3位タイ。
平然と優勝争いに加わった今田に17歳が度肝を抜いた。

「今田さんは、最初にダブルボギーが来ても、そこから這い上がってきた。底力の“底”が高いというか・・・。それを当たり前のようにやっている。僕には絶対に出来ないこと」。

プレー中にも関わらず移動を始める足音。
ところかまわず鳴る携帯電話。
本来は禁止されているカメラのシャッター音・・・。

石川と同組で回った選手の中には大ギャラリーの中でのラウンドにやりにくさを訴える者もいるが、「いっぱい見に来てくれてるんだからそういうこともあるでしょうし、そういうことにも対応していかないといけない。それはしょうがないし、気にしません」と意に介さずむしろ、「ギャラリーが多いとやる気も出るし、やっていて楽しい」と、今田はいう。

さらに「遼くんとラウンド出来て、とても楽しかった」とも。
そして、ホールアウト後のアテストルームで石川に、「最終日にまた一緒に回りましょう」と挑戦を受けて、笑顔でその手を握り返した。

昨年のカシオワールドオープン以来の日本ツアーは週末に家族や親戚、友人・知人がたくさん駆けつけるだろう。
それについては、わざと顔をしかめて「あぁ〜うるさくなりそうですね、広島弁が」と、おどけた。

関連記事