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三井住友VISA太平洋マスターズ 2008

石川遼「目標は昨年の成績を上回ること」

これが6万円で競り落とされた“遼くん”の生グローブとボール。本人もあまりの高値に「ほえ〜!!」。いつになくひょうきんな表情で驚いた
本人も思わず口をあんぐりだ。本戦前日の水曜日に行われたプロアマ戦。その合間に10番ティで行われたチャリティオークションで、“遼クンのお宝”に破格の値段がついた。

最初の9ホールで使用したホカホカの生・手袋と、ボールのセットは最後まで激しく競り合って、何と6万円。
17歳にかけられる注目と、期待の大きさを改めて痛感させられた一幕だった。

38位でベストアマチュア賞を取った昨年に引き続き、2度目の出場となる今大会は、石川が開幕前から楽しみにしていたトーナメントだった。
1年の照準を合わせていた試合でもある。

「開幕前から積んできた練習が生きてくるのは秋のトーナメントだと思っていた」と石川はいう。
「僕にとって、秋のトーナメントというとイメージが強いのがこの大会。早ければ、この太平洋でドライバーの調子が絶好調になるかもしれないと思って練習してきた」と、振り返る。

しかし本人も、予想外のツアー中盤戦での賞金ランクによるシード入り。
さらに日本オープンでの2位。
そして、プロ転向後初のツアー優勝・・・。
その翌週は、先週の大事なホスト試合で予選落ちを喫したが、自宅で過ごした先週末は素振りだけでイメージを作る練習だけにとどめ、打ち込みは控え、十分な休養を取り、体調も万全に今週を迎えた。
「いまは、はっきり良いと言える」。ゴルフもしっかりと立て直してきた。

前日11日の火曜日はテレビマッチの収録でトレバー・イメルマンとのラウンドに「努力と練習」の大切さを改めて胸に刻み、この日は元プロ野球選手の衣笠祥雄さんとのプロアマ戦に、プロ魂を植え付けられた。

2215試合連続出場記録を持つ“鉄人”は、多少のケガでも休まなかったが「試合に出られないほどのケガをしないというのも一流選手として大切なこと」と痛感させられた。

その源はやはり、たゆまぬ努力と練習だった。
「試合中もトレーニングをしましたかと衣笠さんに聞いたら、それはもう生活の一部だったとおっしゃって。それが試合に長く出られた秘訣だと。体の大切さを改めて教えてもらった」と感謝した。

いまは見ること聞くこと、感じることすべてが上達と成長の糧になる。

伸び盛りの17歳にとって今週の目標は、昨年の成績を上回ることだ。
「自分なりに去年より上達したとは思っているんですが、だからといって、この素晴らしい舞台では持っている実力を全部発揮しないと上回れない」。
ガラスの高速グリーンの怖さは、昨年のうちに十分すぎるくらい経験済みだ。



  • プロアマ戦でチームを組んだ衣笠さん(左)にはプロ根性をたたき込まれた!

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