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マンシングウェアオープンKSBカップ 2008

石川遼「明日は別人のゴルフを」

スタートの1番で大きく右に曲げて呆然と立ち尽くす・・・
人気者は成績の良し悪しを問わず、引っ張りだこだ。中継局のインタビューに応えたあとは、ほか各局合同の記者会見。足早に向かう石川を、ジャンボ尾崎が呼び止めた。

「どうだった」と聞かれて、悩みを打ち明ける16歳に61歳が親身に応えた。
現在、石川が使っているドライバーは45.25インチ。
この日初日の大乱丁も「長すぎて、振り遅れているんじゃないか…?」。

ジャンボ自身も気温の上昇によって、硬さや長さを微妙に調整していることを例に取り「暖かくなったのだから一度、45インチにしてみるのもいいかもしれない」とのアドバイスが送られたがまさか、この大事な一戦で試してみるわけにもいかない。

「とりあえず保留」にして現状のまま「明日は、どれだけ練習のままのスイングができるか。改めて挑戦です」。

練習場なら思いどおりのスイングが出来る。「でもコースに出ると、1ホールごとに景色が変わる。狙うところが絞られる。練習場と異なる要素がたくさんある」。
ディフェンディングチャンピオンとして紹介されて、大きな拍手で見送られたスタートの1番で、ティショットを大きく右に曲げた。

とりあえず暫定球を打って、本人とボランティアのフォアキャディ2人と運営スタッフと、ツアーのスタッフ数人で探したが見つからない。
2分ほど捜索したところで諦めて、暫定球でプレーを続行したが、実は第4打を打った直後に1打目がインバウンズであったことが発覚しても後の祭りだ。

ダブルボギーの幕開けに、負の連鎖は続いた。

4番は、ティショットを右にOB。13番は、第2打をグリーン奥に打ち込んだ。そこからピンまで15ヤードのアプローチも失敗。3メートルのボギーパットも外した。
1日3つのダブルボギーは、一時8オーバーまで落ちた。
昨年大会の最終日にやはり同じ組で回った立山光広が、4番でOBを打って怒っていたのを思い出す。
「そこで、今年は僕もOB」と、苦笑した。
15番、最終18番でバーディを奪ったが、6オーバーはもはや「予選通過も厳しい位置」だ。

不調の原因は分かっている。
「スイングのスピードがない。躍動感が感じられない。球が捕らえられていない。出だしに、絶対にやってはいけないミス。でも、それをラウンド途中に修正する技術が僕にはない」と、唇を噛んだ。
6オーバーの130位と大きく出遅れて、「1番がすべてだった。今日のスコアは妥当なスコア」と、結果を受け入れるしかない。

この日、思い出の舞台に駆けつけたギャラリーは7533人。
予選ラウンドとしては、異例の入場者数だ。
熱心なファンの、絶叫にも近い大声援も「精神的には影響していない」と言い張ったが、申し訳なさが募る。
「こんなにたくさん来てくださったのに、堂々としたスイングが出来なくて、申し訳ない」と頭を下げた。
そして「明日は、別人のゴルフを。見に来て良かったと思っていただけるゴルフがしたい」と、精一杯の笑顔で話した。

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