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中日クラウンズ 2008
広田悟「恩返しが出来れば」
「何でだよっ!?」。ムっとして言い返したが、その理由を聞いて納得せざるをえなかった。
「アドレスで、かかとに体重が乗りすぎているよ」と飯田さん。「つま先体重に変えたら、もっと手がスムーズに動くのに」。さらに、某ゴルフ雑誌を突き出して「…って、ここに載ってる山口県出身の某プロも言ってるんだけど」。
開いたページには、広田本人の写真が…。
「いっつもレッスンの取材で言ってることが、なんで自分で出来ないかなあ?」と言われてぐうの音も出なかった。
「最初は逆ギレしたんだけど、けっきょく彼の言う通りでしたね」。
今季初の予選通過に、素直に認めた。
今大会で15位タイにつけた2005年は、翌月のマンダムルシードよみうりオープンで初優勝。
5位タイにつけた2007年の賞金ランクは、自己最高の24位。
いつしか広田の中で、「和合で良い成績が出せたら、その年は1年を通じて良い成績で終われる」というのが定説になった。
2アンダー9位タイからスタートしたこの日2日目は、ほとんど無風だったこと。また、前夜の雨で若干グリーンが柔らかくなったことが味方した。
「普段より穏やかな和合で、素直に自分のプレーができた。そのとき自分が感じたことを信じてやりきれた。そして、迷ったときはグリーンの手前から。今日は、それがうまく出来た結果です」。
思い入れのある今大会で自身初のトップに立って、「ぜひ、恩返しができれば」と気合いが入る。
2年前から所属契約を結ぶ株式会社トーシンは、愛知県・名古屋市内で「「移動体通信関連事業」「不動産事業」「リゾート事業」を展開する地元企業だ。
週末には石田信文・代表取締役社長も応援に駆けつけるだけに、「最終日こそ、この位置で終わりたい」。大舞台でのツアー通算2勝目にやる気を見せた。