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VanaH杯KBCオーガスタ 2009
藤沢市立湘洋中2年の伊藤誠道(まさみち)くんが、最年少予選通過記録を更新(第2ラウンド)
しかしスーパー中学生は、4番から3連続バーディを奪うなど、通算3アンダーの予選通過ラインまで盛り返した。14番からの5ホールを、翌日に残した2日目の夜は「布団に入って5秒で寝た」という強心臓ぶりで、プレッシャーもみごとに乗り切った。
29日(土)は、7時10分からの競技再開後にその2ホール目の難しい16番で右に曲げたが、木の下をくぐらす「シビアなアプローチ」も切り抜けるなど、幾度かピンチを迎えながらも懸命にパーでしのいだ。
迎えた最終18番は、緊張からティショットを左に曲げた。カップの向こうは急激に下る右手前からのバーディチャンスは大きくオーバーさせたが、「オーバーさせるのがいつもの目標。ショートするよりずっといい」と冷静に、返しのパットをねじ込んだ。
思わず握ったガッツポーズに力がこもった。
今回は、ひとまず記録の更新が目標だった。
伊藤涼太が2004年のサントリーオープンで達成した、14歳と2ヶ月7日の史上最年少予選通過を上回ること。
サスペンデッドとなった前日2日目が明けてこの日14歳と21日での決勝ラウンド進出は、「ひとつ達成できたので、また次の目標に向かって走りだそうと思う」。
2つめの目標とはもちろん、石川が持つ史上最年少優勝記録の更新だ。
残り2ラウンドで目指すスコアもでっかく「2桁アンダー」。
本戦前は「1日1アンダー。4日間で4アンダー」が目標だったが、2ラウンド目にしてあと1打にこぎつけて、きゅうきょ修正した。
週末に居残れたことで「失うものは何もない。石川先輩のように、1日4アンダーを目指します。油断した顔を見せず、攻撃的なプレーを見せたい」と、頼もしい。
ツアー初出場は、昨年10月のキヤノンオープンだった。1打差の予選落ちを喫したあのころよりも、身長も体重も飛距離も伸びて、ひとまわり大きくなって、先輩に真っ向勝負を挑む。
そんな伊藤に石川が、「2人で一緒にトーナメントで回ろう」と呼びかけた。
「のびのびとプレーすればいい」と、いつも暖かく見守ってくれる父・一誠さん。
この日も、早朝から就いて歩いてくれた父に、いつか「マスターズのグリーンジャケットを着せかけてあげることが夢」と語る14歳が真夏の芥屋で、夏休み最後に最高の思い出を作る。