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ANAオープン 2009
石川遼が「18歳最初の日に良いスタートダッシュを切りたい」
その前日水曜日の16日は、17歳最後の日に「あした、18歳最初の日に良いスタートダッシュを切りたい」と、意気込む。
昨年の今大会は、初日の出遅れが響いて予選落ちを喫した。
「カップに近づくに連れて、難しくなるこのコースで壁にぶつかって、跳ね返された」と、振り返る。
予選最終日の2日目に、「来年はもっと成長して、必ずリベンジしたい」と、テレビモニターに向かって語った。
「あのときのことは、今もはっきりと覚えている。それくらいに悔しかったから」。
あれから1年。「17歳で、やり残したことは何もない」。そう言い切れるほど、ゴルフに打ち込んできた。
念願のマスターズから、メジャー3試合に挑戦し、2週前のフジサンケイクラシックで今季3勝目、ツアーは通算5勝目。
昨年の今頃よりも、ショットもアプローチもパットも。そして精神面でも目を見張るほどの成長ぶりは、本人も自覚しており「去年の17歳の1日目と、今の17歳と365日目とは、こんなにも差があるんだな、と」。
今大会にかける思いにも、並々ならぬものがある。
現在、賞金ランクは1位につける。周囲は、史上最年少の賞金王を期待する声で早くも騒がしいが、本人には「それよりも、もっと価値のあることがある」。
大勢のギャラリーで、会場を一杯にすること。
その中で、期待どおりのプレーを見せること。
そうすれば、ますますコースに足を運んで下さる方が増えるだろう。
それが、ひいては恩返しにつながると、石川は考えている。
「スポンサーのみなさんには、いつもたくさん協力していただいているから。僕もたくさん、恩返しがしたいんです」と、石川は言う。
来年には高校卒業を控え、「勉強は続けたいから。大学も選択肢の中にある。一番、興味があるのは政治かな」などと、多くの18歳と同じように、進路は当然、気にはなっているのだが、いまは目の前のことで精一杯というのが現実だ。
「いまは、将来のことを話し合う時間がない。いまは、ゴルフのことを一番に考えていきたいから」。
1年ぶりの輪厚は、今年こそホスト大会で優勝争い。いまは、そのことしか頭にない。
そのために、この日水曜日のプロアマ戦は、終了後に「トーナメント会場で使うのは初めて」という中尺パターで、ストロークを矯正した。先のフジサンケイクラシックの3日目から少しずつブレ始めたというパッティング。
あくまでも使用は練習のみだが、「支点を作って肩を動かすのはこういうことなんだということを、体に覚え込ませたかった」という。