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ANAオープン 2009

ハッピーバースデー遼!!

18歳、最初の1日は最高の幕開けとなった。ボギーなしの4アンダーは、首位と2打差の7位タイにつけ、ホールアウト後にスポンサー契約を結ぶ大会主催のANAから特大のバースデーケーキが贈られた。

本人の似顔絵と、18個のボールをかたどったケーキを感心して眺め、「僕ひとりのために、こんなに盛大にしてお祝いしていただいて…」と、目を丸くしながら18本のろうそくを笑顔で吹き消した。
キャビンアテンダントのみなさんが鳴らしたクラッカーを真剣に怖がって、すっかり腰が引けていた。

毎年、この大会の週にひとつ年を重ねてきた。
今年で、2年目。「初めてツアーで優勝した翌年から、いつもみなさんにこの大会でお祝いしていただいて、今年もきっと良い年になると思います。ありがとうございます。」。
恐縮しきりで、頭を下げた。

毎週、その動向を追いかけ続ける報道陣には「みなさんも忙しく、疲れていらっしゃると思いますが、オフにたくさん食べて、体を鍛え、これからも一緒に頑張っていきましょう」とのねぎらいを寄せて笑わせた。

「17歳と、一番何が変わったか」との質問を受けて、首をひねった。
「それは、僕自身はあまりよく分かってない。むしろ回りのみなさんのほうが、分かっているのでは…」。答えに詰まった本人になりかわり、その成長ぶりを証言したのがこの日、同組で回ったディフェンディングチャンピオンだった。

矢野東が感心しきりだ。
「ああいうゴルフが出来るようになると、崩れないゴルフが出来る」。

昨年予選落ちのリベンジを誓う今大会は、18歳の誕生日と同時に幕を明け、本人も「どういうスタートを切るのか自分でも気になっていた」。
ホストプロとしての責任感もあり、周囲の期待という重圧を、敏感に感じ取っていたのだろうか。

スタートの10番で、18歳最初の一打は会心の当たりこそしたものの、そのあとしばらくはショットが乱れに乱れた。
矢野はいう。「前半だけなら、遼は3オーバーくらいしていてもおかしくないゴルフだった」。

しかし、グリーン回りの処置が、秀逸だった。再三のピンチをアプローチとパットでしのぎにしのいだ。
11番パー3は、右手前バンカーから今夏投入した60度のウェッジでピンそば1メートルにつけてこれを沈めた。

14番は、木に囲まれた左のラフから高い球でグリーンエッジに脱出。そこから1メートルに寄せて、これまたしのいだ。

17番は、右の林からの第2打を、木に当てて背後に飛ばすハプニングもあった。これには、さすがに「その場を乱すような、みっともないショットをしてしまった」と本人も恥じらいを見せ、「失礼しました」と、誰にともなく頭を下げる一幕もあったが、気を取り直して打った260ヤードの3打目をクリークで花道に置いて、そこから20センチにつける絶妙の寄せワンを披露した。

再三、グリーンを外しながらも「これほどパーセーブが出来たのは、おそらく初めてではないか」と、自身4度目のボギーなしのラウンドの中でも、本人が一番目を丸くしたこの日の18ホールが、鍛錬を続けてきたこの1年の成長を、何よりも雄弁に物語る。

本人も近頃よく言う、「バーディのように派手ではないが、輝くパー」を連発し、そして5番パー5のイーグルへとつなげた。矢野も「さすが、今年3勝しただけのことはある」と称賛を浴びせた18歳らしからぬしぶといゴルフこそ、この1年間で培ってきたものだった。

昨年、すべて予選落ちの惨敗を喫した今週から3週続く、いわゆる“ホスト大会3連戦”。
そのリベンジをもくろむ第1戦で好スタートに成功した石川は「やるべき事は、昨年よりも明確に見えています。まだ半分しか終わっていないけど、明日も明後日も我慢して、最終日最終組でやれる位置にいたい」と、残り3日の健闘を誓った。

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