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日本オープンゴルフ選手権 2009

2つめの日本タイトルを狙う五十嵐雄二が

この日初日にボギーなしのラウンドは3人だけだった。そのうちの一人が五十嵐だった。最終9番で、6メートルのパーパットを沈めて息をつく。

このゴルファー日本一決定戦にしては、例年よりコースが易しいという選手も多い中で、五十嵐は最初から「そんなことはない」と、言っていた。
「グリーンが小さいし、速くて堅い。ラフから打ったら、転がり出るよ」。
そうそうスコアは出ない、と予測していたくらいだったから、「このコースで俺が、まさかボギーなしで回れるとは」。

6月のUBS日本ゴルフツアー選手権 宍戸ヒルズで40歳にして、悲願のツアー初優勝をあげて、その特典で8月のWGCブリヂストン招待で、海外ツアーに初参戦。

米選手のパワーやコースの長さ、言葉の問題や環境の違いに七転八倒しながらも、ベテランは土産なしには帰国しなかった。

結果は“ブービー”に終わったが、世界の舞台で戦った経験が生きた。
「あのときのコースも今週くらい、グリーンが小さかったから」と平然と、淡々とホールを重ねた。

前半は、もっとチャンスがあったという。
「それをことごとく外して。入っていれば、もうちょっと伸ばせていたかも。でも3アンダーなら十分ですね」と、地元・埼玉での好発進に納得顔だ。

予選2日間は27歳の上井邦浩と、いまもっとも勢いのある23歳・池田勇太に挟まれてのラウンドも、「気持ちは僕も、若いつもりでいるので」と、スコアでも若い2人を凌駕して、控えめに胸を張る。

ツアー初優勝から4試合連続の予選落ちを喫し、「勝ってもそのあとの内容が伴わないと、自信になってこない」ともがいた時期もあったが、先月のアジアパシフィック パナソニックオープンで、優勝後の初のトップ10入り(7位タイ)を果たし、ゴルフも徐々に上向いてきた。

勝てば“日本”とつくタイトルで、年間2勝。
「当然、狙っていきたいと思います」。
秘めた闘志をますますあおる好スタートだ。


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