Tournament article

コカ・コーラ東海クラシック 2009

梶川剛奨(かじかわたけし)が2位タイ浮上

スタートからいきなり、5連続バーディを奪えば、自分がいったいいま何位につけているのか。知りたくなるのが人情というものだ。

しかし、梶川は必死でその欲望と戦った。
痛い目にあったのは、首位と3打差の2位タイで迎えた7月のセガサミーカップの最終日。自身初の最終組に、「絶対に見ちゃいけない、と思っていたのに・・・」。

あがりの16番で、スコアボードが目に飛び込んできた。その直後に連続ボギーを打って、7位に沈んだ。
「それがあったから、今日も絶対に見ないでおこう、と」。
途中にいくつもそびえる巨大な順位ボードのほうに、目をやらないでおくには非常に骨が折れがそんな努力の甲斐あって、最終ホールで石川遼と、池田勇太と首位で並んでいることも知らずに済んだ。

バンカーから、奧3メートルのパーパットも痺れることなく決められた。
2位タイにしがみつき、自身2度目の最終日最終組を迎えることになった。

プロ15年目の38歳は、チャレンジトーナメントでは3勝の経験があるが、ツアーではまだシード権すら獲得したことがなく、本格参戦6度目の今季は、ファイナルQTからの出場だ。

一見、苦節のプロ生活も“営業力”を生かし、自ら取ってきたスポンサーは現在6社。
特に今週は、新たにゲーム機の製造・販売のサミー株式会社と正式に契約を結んだばかりで、それでなくとも気合いが入っているのは間違いないが、「あまりそればかりでは、プレーに集中できない」。

まして、最終日に同組で回るのは石川遼と池田勇太という顔ぶれに、「メンツが悪すぎるでしょ。強すぎるでしょ」と、苦笑した。
「時代を象徴するスターたち。僕の出番じゃないですよ」と首を振った梶川は、「最終日の目標は」と聞かれて迷わず答えた。
「それは、明日もボードを見ないことでしょう」。
無印男の優勝争いは、とにかく自らに過剰なプレッシャーをかけないこと。それこそが大きな鍵を握るのだ。

梶川剛奨(かじかわたけし)
1971年の5月13日生まれは99%の進学率を誇り、東大合格者も出るという千葉県の進学校、東葛飾高校出身。しかし本人は大学進学ははなから頭になく、卒業後は12歳から父親の手ほどきを受けたゴルフで生計を立てていくと決意。
24歳の1995年にプロ転向。
しかし、一銭も稼げない年が長く続き、ツアーの獲得賞金はこの14年間で1533万5970円。まして2007年には頸椎ヘルニアを患い、約半年間も棒に振ったが持ち前の営業力とプラス思考で乗り切って、ファイナルQTランク54位の資格で自身6度目の本格参戦を果たした今季は、7月のセガサミーカップで自己ベストの7位タイにつけている。
家族は今年2月に結婚したばかりの妻・静さん。
趣味は囲碁と将棋とクラシック音楽鑑賞。

関連記事