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マイナビABCチャンピオンシップ 2009
矢野東は「自分に期待しない」
「なんか、もう疲れちゃって」。
ついに、この日初日は諦めた。
突き詰めて考えない。「自分にも、期待しない。ティショットも、セカンドショットも適当に打つ」。
もう無理に、ピンを攻めたりもしない。
「ピンが手前なら奧を。奧なら、手前を狙う。出来るだけピンに近づかないゴルフをしよう」。
たとえバーディチャンスの距離が残っても、「僕はパットが上手いから。他の選手に比べても、かなり高い確率で入るから」。
欲を捨てるかわりに、そんな余裕と自信を持って、一歩引いてコースと向き合ったら、「急に体がスムーズに動き始めた」。
逆にチャンスが向いてきた。
後半の3番で15ヤードのアプローチがカップインするなど、この日7バーディ(1ボギー)の66は、たちまち今季2度目の首位タイ発進。
「今日はバーディを取るつもりでゴルフをしなかったのに。不思議ですねえ」と、苦笑した。
そして確信。「ピンに近づくショットというのは、やっぱりリスキーに出来ている。ストレスもたまるし、怪我もそれだけ大きくなるんだな、と」。
好スタートにも相変わらずの欲のなさ。「僕は、一着になるつもりはない」と矢野が言ったのは、2週後に控えた米ツアーのQスクールは、セカンドステージからの挑戦を見据えてのことだ。
来季の出場権をかけた戦いは、1位を取ることが目的ではない。
あくまでも4日間、着実にスコアを積み上げ、確実に上位に入ること。
「そういうプレーを目指している」と、無欲のゴルフを強調したが、そうはいっても渡米まで日本ツアーはあと2試合。
「もちろん、勝ちたい。勝って行きたい」。
最後はやっぱり抑えきれない欲求とのバランスを、うまく取りながらの残り3日となりそうだ。