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三井住友VISA太平洋マスターズ 2009
4位タイの石川遼は
「ラフ、フェアウェーの色合いやバンカーも。グリーン回りは高く見やすくなっていて、大きなトーナメントの開催を想定したコースは会場全体が選手はもちろん、ギャラリーの方をもてなしてくれる雰囲気がある」。
またこの時期は紅葉も美しく、この日はあいにくの曇り空で見えなかったが、さらに日本一の山が加われば、最高のロケーション。「でも富士山には申し訳ないけれど、顔を出していなくても本当にきれいで」。
その印象は6歳のときに、この大会をテレビ観戦した時から変わらない。
それは、イギリスのリー・ウェストウッドが3連覇を達成した年で、全英オープンで初顔合わせをした際に本人に当時の感動を伝えたら、「ところで、そのときお前はいくつだったんだよ」と笑われたものだ。
あれはおそらく6歳のころ。
あのときから「ゴルフ場の素晴らしさを感じていた」。
そんな思いがますます深まった1日でもあった。
スタート前だ。
1日中土砂降りが続いた前日の大雨に、コース管理のみなさんは夜中3時から会場に来て懸命の復旧作業を行った、と関係者から聞いた。
確かに、9ホールの短縮になったプロ・アマトーナメント時には考えられないほどコースは何事もなかったように、すっかりいつもの美しいたたずまいを取り戻し、御殿場の高速グリーンも相変わらず。
コース管理のみなさんのご尽力に触れて、「こんな素晴らしい環境でやれる幸せ…。ここで、良いプレーをすることで恩返しがしたい」
改めて気合いが入った。
しかし、そんな熱い思いとは裏腹に、過去2度の出場経験を下地にしたゲームプランは18歳とは思えないほど冷静だった。
「昨年は、スプーンとかで右に突き抜けたり左のラフに行ってしまったので。どうせ刻むなら」と、スタートの10番で最初に握ったのは2番アイアンだった。
グリーン回りでは、先週のWGC「HSBCチャンピオンズ」で必要性を痛感し、この練習日にさっそく習得に励んだロブショットを随所に繰り出し昨年は、3日連続で池ポチャを食らった6番パー5では、残り200ヤードのラフからフライヤーを計算して7番アイアンを手に取り、昨年までとは別ルートから果敢に2オンを狙った。
わずかにグリーンに届かなかったが、30ヤードのアプローチを左2メートルにつけてバーディでリベンジ。
好発進に「昨日はあれだけ水が浮いていたグリーンも、今日はきちんとスピードが出ていてびっくり! コースのみなさんには本当に感謝したい」とホールアウト後に改めて頭を下げて、主催者を喜ばせた孝行息子はこの日、ちょうど42歳を迎えた母・由希子さんの誕生日も好スタートでお祝いして、「今日のスコアにますます気合いが入ると思います!」と、無邪気に笑った。