Tournament article
ダンロップフェニックストーナメント 2009
賞金レースを争う2人は
4番パー5では、第2打がバンカーのアゴに刺さって脱出するので精一杯。7番では、バンカーからバンカーを渡り歩き、15番でもまた第2打をバンカーに入れた。
だが、さしたるダメージも受けずに済んだのは、毎朝30分練習に時間を割いているというロブショット。「バンカーでも、同じイメージで打てるようになってきた」と納得のサンドセーブで切り抜けた。
ワンオン狙いの13番は、バンカーではなかったが左に曲げたティショットは「海の砂浜のようなライ」へ。しかも目の前には、逆くの字にねじ曲がった松の木が立ちはだかる大ピンチも見事な寄せでギャラリーを喜ばせた。
26ヤード先のピンをピタリと捉えた。30センチにつけて、バーディを奪ってみせた。
練習場では「プロの球筋」。
しかし、コースでそのとおりに実践出来ず、焦りからイライラを募らせていた前日までの3日間。
この日も「今朝の練習場は、今シーズンで一番良かった。でも、やっぱりコースでは出来ずに悔しかった」。
そうつぶやきながらも、「昨日よりは、だいぶ前向きにプレーが出来た」と笑って話せるのは苦しい中でも少しずつ、その成果が出ていると感じられるラウンドだったから。
「スコアは伸びていないけど、今日のほうが内容は良かった」。
チャージを誓った前日3日目も伸び悩み、すでにその時点で「もう優勝には絡めない、というところまで落ちた」。
今季5勝目には早々に白旗を揚げたが、「めげないで練習を続けていれば、いつかコースでもそれが出来るようになるはず」と、最後は納得して終われた。
22位賞金は212万円を上乗せして、池田勇太との差額を約700万円に広げて、「少し僕のほうが有利。やっとここまで来られた」。
賞金レースも残り2戦。いよいよ佳境を迎えて「二度と訪れないチャンスかもしれない。逃したくはない」と、力を込めた。
そして追いかける池田も「最終日ということで、気合いが入った」と、この日は6バーディで応戦。
右手甲に右腰痛。
満身創痍の状態は相変わらずだ。
それでも、世界ゴルフ選手権から帰国直後の前週の三井住友VISA太平洋マスターズより症状は「数段マシ。あのときは、歩くのもつらかったから」。
この日は2度のバンカー目玉。
最終9番では、160ヤードからグリーンを捉えることが出来ずに自嘲の笑みも、深刻な痛みにニコリとも出来なかった頃よりは、はるかに良い。
この日は初めてのフェニックスで、初のアンダーパーをマークして46位タイ。
「この状態で40位台って凄くない?」と、久しぶりの自画自賛も飛び出した。
まだ諦めない。石川の独走は、まだ許さない。
「とにかく、今は体が資本。来週は、またいちから治して出直す」と、引き続き懸命の治療で残り2戦に賭ける。