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UBS日本ゴルフツアー選手権 宍戸ヒルズ 2009

五十嵐雄二が首位タイに

普段は至っておだやかな性格だが、ゴルフは別だ。怒りは、無理に押さえ込まない。ストレスをパワーに変える。
チャンスホールの2番パー5はアプローチをミスした。
ボギーを打って「だいぶ自分にイライラしていた」。

その気持ちを次のプレーにぶつけた。
4番、5番で1メートル。6番パー5は、3メートルに寄せて3連続バーディだ。

この日4つめのバーディを奪った14番、15番もそう。
「イライラしたまま打ったら、ピッタリついた」という。
3メートル、6メートルのバーディチャンスを決めて、連続バーディ。

プレー中に感じたイライラは我慢せず、「良い方向へ持って行くようにしている」という。
たとえばボギーを打ったあとのティショットは「思いっきり叩いていく」。
それで逆に、ボギーが続くこともあるが、「今日は良い方へ行ってくれた」。
ドライバーが好調なのも相まって、この日フェアウェーを外したのは2ホールだけだ。

通算8アンダーは、首位タイにのし上がった。

「もちろん、優勝を目標にしているけれど、今のところは夢みたいな感じで」。
今年は、ファイナルQTランク9位の資格で参戦し、まだシード権も確保したことがない選手は、さすがに控えめだ。

それでも、2001年の三菱ダイヤモンドカップで、プレーオフに敗れて逃したツアー初優勝への未練は大きい。
おまけにその年、ほぼ当確と言われていた初シードも逃したが、振り返ってみれば、あのころよりも、今のほうがずっと「ゴルフへの情熱がある」と五十嵐はいう。

この日、応援にかけつけた兄・修さんが園長をつとめる幼稚園に、弟・航くんが通っていた縁で、まだ小学生だった石川遼とラウンドしたことがある。
「僕と回ったことで、遼くんの勉強になった? まさか、それはないでしょう。あのころから遼くんは1打への集中力が凄かった。僕が教えるまでもなく、あのころから凄く良いゴルフをしていたから」。
本人はそう謙遜したが、この日報道陣に囲まれた石川はこう言っている。

「まだ、プロと回れる機会があまりなかったときに、五十嵐さんと回らせていただいて、プロの球の凄さを間近で見られた」。

今年41歳のプロ17年目。
まだ、その才能は花開いていないが、「以前よりはうまくなった」という確かな実感もある。
1銭も稼げない年も経験しながら妻と2人の息子を養うのに懸命で、不遇の時期も耐えて悟ったことは、「やっぱり自分にはゴルフしかない」という熱い思いだ。

出身は、石川が住む埼玉県松伏町のお隣の吉川市だが、現在は開催コースの地元・茨城県常陸大宮市在住。
今週は自宅から車で約50分の“自宅通勤”で、「細かいことを言うのはカッコ悪いだけど、正直家から通うと経費が助かります」と笑う苦労人は、「若い選手に負けないように、頑張ろうと思っている」。
淡々とした口調に、決意を滲ませた。

※当初、この原稿内で五十嵐の所属先を誤って掲載しておりました。五十嵐の所属はO・E・Fです。お詫びして、訂正いたします。

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