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サン・クロレラ クラシック 2009

石川遼が単独首位スタート

1イーグル5バーディの65は自己ベストタイ記録に「これ以上ないくらい、会心のゴルフでした」と、満面の笑み。しかもボギーなしのラウンドは、15歳でのツアーデビューから自身初。

「初日から、優勝争いのつもりでやった」という。
スタートから気持ちのこもったプレーは、たとえミスしても、「グリーンに乗らなくても、チャンスにつかなくても、そこからパーを取るのがゴルフ」と、平然としのいでみせた。

8番パー4で、ティショットが木の後ろに。
わずかな隙間を抜いて、果敢にピンを狙った第2打は、グリーンをオーバー。アプローチは届かず、ボールは再びラフに潜った。
「ミスが続いてずっと僕がプレーしている状況で。一緒に回っているみなさんには申し訳ないことをした」と、頭を下げた。
「その上、あんなのを入れてしまって・・・」と、4打目のアプローチをチップインパーにおさめ、ますます恐縮する気持ちはど派手なガッツポーズで断ち切った。

「どうだ!」と、ばかりに睨み付けるような強いまなざしは、たまたまその視線とぶつかった報道陣も怯えたほどで「ええ、本当ですか? 全然、覚えていないんですが」と再びここでも恐縮しつつ、「とにかくここは入ったんだから。次に気持ちを向けよう、と。自分を励ます気持ちでした」と振り返る。

そして続く9番パー5で、奧から3メートルのイーグルチャンスを決めた。

後半も、その勢いは止まらなかった。べテランプロさえひれ伏す難コースもものともしない。
「スコアが良いときは、難しさを考えないでやりたい。チャンスを見付けてバーディをたくさん取っていく」と勇ましく、504ヤードと距離が長く、「小樽のアーメンコーナー」と畏れられる16番パー4も難なくしのぎ、まだ初日にもかかわらず大勢のギャラリーが待つ最終18番でもきっちり魅せた。

高々と舞い上がり、右手前1.5メートルに落ちた第2打は、着地するなり微動だにしない。
ピンそばにぴたりとつけて、ウィニングパットばりのバーディで締めくくった。

この日は本人も納得のドライバーと、パッティングの出来もさることながら、ユニークなクラブセッティングがハマった。

風の中で球の高さを打ち分けるため、スタート直前にバッグに入れたのが2番アイアンと5番ウッドだった。
「アゲンストの2番ホールはクリークだと球が上がってしまう」。
しかし、6番パー5はクリークで行きたいし・・・。
スタート前に、ホールごとの攻め方をあれこれ巡らすうちに、「両方持って行きたい」と欲張った石川は、なんと9番アイアンを抜いた。

かわりに8番アイアンで補った。フルスイングなら155ヤードも「8番で、145ヤード打つんだという気持。スタンス幅とか、グリップを1センチ短く持つとかではなく、ただその気持ちを強く持つことでそれ相応の打ち方になる」と感覚を研ぎ澄まし、難コースでいきなりの大量アンダー。

しかし、「今日は、たまたま小樽の洗礼を浴びずに済んだだけ」と浮かれない。
「その分、ピンチは明日くる。絶対に避けられないと覚悟してやる。また0からのスタートだと思ってやる」と、即座に頭を切り換えた。

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