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長嶋茂雄 INVITATIONAL セガサミーカップゴルフトーナメント 2009
石川遼「来年また、挑戦します!」
つまり、次こそは大会名誉会長の長嶋茂雄氏から、18番グリーンの表彰式で優勝カップを受け取ってみせるという決意のあらわれだった。
17歳の、強い気持ちは最後まで揺らがなかった。
16番パー3で、この日6つめのバーディを奪い、ますます勢いづいた。
「残り2ホールはバーディ、イーグルで15アンダーにする」。
それは石川なりに予測した、優勝の可能性もあるであろうスコアの目安。
しかし、次の17番で残り157ヤードから、8番アイアンで打ったラフからの第2打を池に入れた。ドロップして4打目は前足上がりのセミラフから、見事なアプローチでピンに寄せたが、さあこれから、という場面で打ったボギーは「ものすごく重くて・・・」。
萎えかけた気持ちを奮い立たせてくれたのは、やっぱり“ミスター”の存在だった。グリーンサイドに応援に駆けつけてくださった長嶋氏の姿を見付けた石川は、真っ直ぐに歩み寄り、固い握手。
それまで3日間ともラフだったという最終18番のティショットは「長嶋さんに力をいただいたおかげで今日はフェアウェーに打つことが出来ました」と感謝する。
連日の雨に芝がたっぷりと水分を吸って、グリーンまで285ヤードと距離は残ったが、諦めなかった。
グリーン左のバンカーからならチップインもあると、躊躇なくスプーンを振り抜いた。
「5ヤード足りず」に右のラフに落ちてパーに終わり、グリーンサイドで見守っていた長嶋氏に優勝の報告は出来なかったがそれでも渾身のトップ10入りに「最後まで、諦めずにやりきったという満足感はある」と石川。
「よく頑張ったね」とねぎらってくださった長嶋氏に頭を下げて、「来年また挑戦します」と、再び約束した。
4月のマスターズに先週は、全英オープンと2戦目のメジャーから帰国したばかり。
北海道のファンと、ミスターにも恥ずかしくないプレーを見せたい。
「100%の状態で挑めるように」と、本戦までに十分に睡眠を取り、時差ボケを解消し、トレーニングで汗を流し、体調を整えて万全の体勢で臨んだ今大会だった。
最初の約束は、また来年に持ち越されたが、そんな石川の成長ぶりを見届けた“ミスター”はこんなメッセージを送っている。
「今年、やはり目を引いたのは石川選手でした。海外でのメジャートーナメントを経験し、一回り大きくなった姿に驚かされました。17歳にして、世界で戦える風格が出てきましたね」。
そんな長嶋氏の期待に応え、来年こそ3度目の正直といきたい。