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〜全英への道〜 ミズノオープンよみうりクラシック 2009
石川遼が3打差つけて単独首位に
2位とは3打差に「自分の実力とは思えない」と頬を上気させた石川は、この日もスタートから積極的に飛ばした。
1番から連続バーディ。あっという間に逆転に成功し、本人も「一番難しいホールのひとつ」として数える4番パー4は、80センチもの高低差がある2段グリーン。
「真ん中を狙うと段の下になっちゃうので。攻めていくしかない」。
165ヤードの打ち上げの第2打は、ピンの根元が見えない状況にも関わらず、7番アイアンで計ったように段上のピン手前1メートルにぴたりと乗せた。
そのあと幾度か絶好のチャンスを外したものの、「僕の練習量なら入ればラッキー。入らないのは当たり前」と割り切って、前日ダブルボギーを打った13番パー3でイライラを断ち切った。
6番アイアンで、ピンの右奧3メートル。
バーディで、食い下がるマークセンを引き離し、さらに16番で手前バンカーから右横1.5メートルに寄せて、突き放した。
ここよみうりカントリークラブは最大高低差が42ヤードある。
急な傾斜の連続に、足の疲労を訴える選手も多い中、17歳は「疲れは普段のコースと変わらない」と、こともなげに言う。
むしろ、深いラフや傾斜など、足場の良くないところを歩かされるギャラリーを気遣って、「僕よりもみなさんのほうが数倍、疲れているはずです。それでも、最後までこんなに大勢の人がついて歩いてくださって。ありがとうございますと言いたい」と、感謝の言葉を忘れなかった。
そして、茶目っ気たっぷりに呼びかけた。
「でも明日は、もしかしたらみなさんが見ていないところでホールインワンとかしちゃうかもしれない。だからぜひ明日も、18ホールついて歩いてくださいね」と無邪気に笑った。
これだけ差をつけて最終日を迎えるのは、「初めての経験」だ。
「明日は、自分の本性が出てしまうかもしれない」と、本人はちょっぴり不安げ。
「僕が10アンダーぐらいまで落ちてしまったら、いま5アンダーくらいの人にまでチャンスはあるから」。
確かに、毎日数人が大量アンダーをマークするコースで、誰が飛び出して来てもおかしくはなく、3つのリードもあってないような状況で、それでも石川は自分に言い聞かす。
「3つ余裕があると思ってやる。1番から3連続ボギーで出ても、大丈夫と思ってやる。本当の相手は自分。自分の心の中で、自分と戦う」。
すでに過去2勝の経験を、「明日は出来れば生かしていきたい」と、肝に銘じた。
今大会の上位4人に与えられる全英オープンの出場権にも王手をかけたが、あくまでも目標は次のツアー通算3勝目だ。
「全英は、優勝を目指してやっていたら勝手について来ちゃうものだと思うので。下を見てやるのではなく、自分が引っ張っていくプレーをしたい」。
もっともプレッシャーがかかるであろう最終日も、いつもと変わらずのびのびと、豪快に。魅せるゴルフを約束した。