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アジアパシフィックオープンゴルフチャンピオンシップ パナソニックオープン 2009
武藤が、鈴木が64をマーク。手嶋が3位とベテラン勢が揃って上位に!!
「アウト30?! ウソでしょ武藤」とは、横尾要。
「今日7アンダーだって?! 武藤、お前はいったいどこのコースを回ってきたんだよ」と叫んだのは、豪州のシーハンだ。
さらりと答える。
「どこか隣のコースかな!」。
開催コースの城陽カントリー倶楽部の近隣コースの名前をあげて、ジョークで返した。
ふくれっ面で、じとりと睨み付けたのは、練習仲間で後輩の津曲泰弦(つまがりたいげん)だ。
「昨日、僕が武藤さんに、ご飯をご馳走したんスよ。それであっちのほうが良いなんて、おかしくないッスか?!」。
「まあまあ・・・」と、半笑いでなだめて高笑い。
「今日も奢ってもらうかな」と、わざと鷹揚に答えて、ますます妬みを買ったこの日のプレーは、前半の18番で16メートルのバーディパットが決まってから、がらりと様子が変わった。
ワンオンも狙えるその前の17番パー4で、ティショットをOB。しかも確かにインバウンズに落ちたと思ったボールが忽然と消えて、納得のいかないボギーを打っていた。
「その悔しさが次のホールで忘れられた」。
気分を入れ替え、折り返した後半のアウト9ホールで6つのバーディ。
あがり3連続バーディで、一気にスコアボードを駆け上がっておきながら、「このコースは無理出来ない。牛歩で行くしかない」とのセリフもこの大量アンダーには、なんとも説得力がないが・・・。
そしてもうひとり、驚愕のベストスコアは午後組の鈴木亨だ。圧巻は、591ヤードの5番パー5だ。3番アイアンで2メートルに2オン成功。これを沈めてイーグルを奪った。
「今日のスコアの最大の要因はパター」と、43歳が胸を張る。
「昨日のゴルフ(73)とは大違い。朝の練習場で気づいたことがあって、それを試してみたら、出だしの1番から良いパットが出来た」と嬉しそうに微笑む笑顔が若々しい。
ところで、鈴木と同じ3位タイに浮上した手嶋多一も今年41歳。ちかごろ若手の台頭著しい中で、40代のベテランの活躍が光るが、これについて、先週のANAオープンでツアー通算15勝目をあげた谷口徹が断言した。
「手嶋も、“谷口がやれるのだから俺もやれる”と思っているはず。僕の優勝が、良い刺激になっているに違いない・・・!」。
しかし、それを伝え聞いた手嶋は、ブンブンと首を振った。
「僕は、今週から気分転換に昨年の10月まで使っていたパターに戻したら、たまたま入っただけで・・・。僕は、とても谷口さんのような性格にはなれませんから!」。
そして、久々の優勝争いに、「遼くんと回るくらい、緊張してます」と、その真相は煙に巻かれた。