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アジアパシフィックオープンゴルフチャンピオンシップ パナソニックオープン 2009
ホストプロは出遅れたが・・・
スタートの10番ティに石川遼が現れた瞬間に沸き起こったのは地を震わすようなどよめきと拍手と、鳴り響く口笛と・・・。
「予想外の盛り上がりは、まるで今日が最終日かと思ったほどで。最初は緊張で、気負ってしまった」と、前半のインコースはショットが乱れに乱れた。
おかげでフェアウェーをキープできたホールは前半の9ホールに限ってはひとつもなく、ちかごろ磨きがかかったアプローチもこの日はちっとも寄らず、パッティングも決まらず、じりじりとしたゴルフが続いた。
「ラフからのショットが多くて、リズムがつかめなかった」と、振り返る。
そんな停滞ムードを変えたのは、やっぱりこだわりのドライバーショットだった。
本戦前から条件さえ合えば、ワンオン狙いでこのホスト試合を盛り上げると誓っていた左ドッグレッグの17番パー4(357ヤード)は、「あれはもう、完璧でしたね」と、会心の一撃だった。
ボールは一度、グリーンを捉えて跳ねて奧ラフへと転がり落ちたが「あれは成功の内に入ります」と満足そうに、大ギャラリーを興奮の渦に巻き込んだ1打は、自身の流れを取り戻すにも十分だった。
「スコアには結びつかなかったけど、そのあとからショットも良くなった。やっと自分らしいゴルフが出来るようになった」と、2オーバーは54位にも悲観はしていない。
「明日も今日の後半くらい、ショットがフェアウェーに行ってくれればチャンスはある」。
京都のゴルフファンは、ナイスショットをしたあとの拍手の余韻が長い。
それは、石川には「全英オープンのギャラリー」並みだそうで、「たくさんの声援の中で、プレーが出来て嬉しかったから。明日は、最善を尽くせば60台も出せる。明日も、1日5アンダーを出す選手が何人かいると思うけど、それが自分であればいい」。
大会主催のパナソニックと所属契約を結ぶ18歳にとっては1日、1日がその恩返しとなる。