Tournament article
The Championship by LEXUS 2009
武藤俊憲のツアー通算3勝目を支えた人々は…
「なのに、結果が出なくて。ストレスを溜めにコースに行っているようなものだった」と、振り返る。
「今のトレーニングメニューで本当に大丈夫なんだろうか」。
そんな疑問から、昨年1月から契約を結ぶ小林宏平トレーナーと何度か意見が衝突して、険悪な空気になったこともある。
それでも根気良い話し合いの末に、この秋から下半身強化のメニューを取り入れるようになった。すると、たちまち上昇ムードが戻ってきた。
2打差3位タイにつけた大会3日目は、1時間のパッティング練習のあとで小林トレーナーが切り出した。
「久しぶりに、走りませんか?」。
特に、グリーン上で手こずっているのは、体が強ばっているせいではないか。
「あえて、ここで全身運動を取り入れたほうがいいのでは」。
そう読んだ小林さんは、試合中にはやったことがなかったという荒療治に踏み切った。
小林さんの唐突な提案に「えぇ〜、今からぁ!?」と、口ではゴネながらも武藤は素直に100メートルダッシュを3本、難なくこなした。その効果はてきめんだった。
翌朝には、小林さんも思わずほくそ笑むほど、筋肉はすっかり普段の柔らかさを取り戻していた。終盤の逆転につながった。
そして、ツアー3勝目を支えてくれた人がもう一人。
人情に厚い選手はかねてより言っていた。「小田さんを勝たせてあげたい」。専属キャディの小田亨さんとは、昨年6月からコンビを組むが、同年9月にツアー通算2勝目をあげたコカ・コーラ東海クラシックはたまたま別のプロキャディがバッグを担いでおり、武藤にはそれがずっと気がかりだった。
「早く小田さんに1勝を」と、折りにふれて言っていた。
小田さんは、9月に第二子を授かっていたこともあり、「優勝でお祝いしたい」と話していただけに、ちょっぴり遅めの出産祝いがようやく出来た。