Tournament article
房総カントリーカップ 2009
答えは石川遼のゴルフにあった!!久保勝美
開幕から五十嵐雄二、鈴木亨、野仲茂らと一緒に練習ラウンドしていた久保は、五十嵐がUBS日本ゴルフツアー選手権に優勝し、鈴木も2位に入る活躍を目にし、自分には何が足りないのか、自問自答した。練習ラウンドでは彼らとまったく差はない。むしろ自分の方がいいゴルフをしていた。ツアー選手権では、初日、2日目と久保は五十嵐と同じ組で回った。だが、自分は予選落ちを喫した。
その答えを見つけたのは、ミズノオープンよみうりクラシックの最終日だ。久保はこの試合でも予選落ちをし、日曜日はテレビで試合の模様を見ていた。画面に映っていたのは石川遼だ。彼の16番ホールのチップインイーグルを見ていて、気がついた。自分だったら「左サイドが怖くて、2打目を刻んでいただろう、アプローチもあんなに強くて打てず、ショートして2パットのパーで終わるだろう」と思った。
だが、彼は違った。攻め続ける石川は2打目を恐れることなく、2オンを狙い、アプローチも強めに打ってのイーグルだ。たしかにアプローチは強すぎたかもしれない。だが、「前向きな気持ちを持っている人には、神もご褒美をくれるのだ。マイナスな気持ちの人には、ご褒美はない」と悟った。
これまで守りすぎてかえってミスをしていた。たとえば、池を避けるために、左に打っていって、そこからミスしてボギーを打ったりしていた。「同じボギーなら池に入れてボギーにしたほうがいい」と考えをプラスに切り替えるようにした。
そうするとどうだろう、技術面では何も変えていないのに、コンスタントにアンダーパーで回れるようになった。先週は火曜日から2日間をPGAウィニングツアー、木曜日から2日間は埼玉オープンをプレーして、すべてアンダーパーだった。
パターも入るようになった。1日2時間はかけて、タッチをあわせる練習をした。なによりも「入れる気持ちがなかった」ことに気づいたのが大きかった。
最終日は強風が吹くことを想定し、ユーティリティを1本バックから抜き、代わりに3番アイアンを入れた。「球を上げない」作戦が功を奏した。開催コースである房総カントリークラブ房総ゴルフ場 東コースには200ヤードを越すパー3が3ホールもあるが、この3番アイアンが「活躍」してくれた。
全てがいいほうに転がってくれたようだが、これも「プラス思考」の賜物なのだろう。これまでに1日競技やローカル競技の山梨オープンでは優勝経験がある久保もこれがチャレンジトーナメント初優勝だ。昔から出場していただけに「1回は勝ちたいと思っていた」と嬉しそうだ。「シニアまで頑張ろう。もう若い人にはかなわないから」と謙遜するが、まだまだこれからだ。
後輩たちからはドリンクのシャワーをかけられ、荒い祝福を受けた。ツアーでは良く見かける光景だが、チャレンジでは珍しい光景だ。これも後輩から慕われる久保の人柄がしのばれる1シーンだった。
まだ、これからも戦いは続いていく。46歳の久保の今後のさらなる活躍に注目したい。