Tournament article

VanaH杯KBCオーガスタゴルフトーナメント 2010

石川遼が単独首位に

5アンダーからスタートした2日目は、前半の7番ホールまで、じっと我慢の石川だった。序盤で再三、チャンスにつけながら、カップに嫌われた。ツアーでは、今や唯一の高麗グリーンは芝目が強く、普段より強めのタッチが必要だが、「昨日よりほんの数10センチほど、打てていなかった」。

しかし石川に焦りはない。「イライラすることもなく、入ってくれるまで、我慢しようと」。
今もときどきラウンドに出るという茨城県のしもふさカントリークラブ。小学校2年生のとき、生まれて初めてラウンドした馴染みのコースも高麗芝のグリーンで、「もしかして僕は慣れているのかな」との思いは、この日いよいよ確信となった。

「待ちに待った」バーディは、8番のパー3だ。
8番アイアンで2メートルにつけて、「これ以上ないチャンス」を決めて、両手を天に突き上げた。

これを契機に爆発した。
11番まで4連続の遼チャージ。

先週1週間の休日は、全米プロで予選落ちを喫した悔しさを「バネ」に、猛暑の中で、1日300回を超える素振りに思いをぶつけた。「それが今週、さっそく生きてきた」。

6歳からゴルフを始めて12年目。
誰よりも数多くボールを打つことで、18歳にして賞金王までのぼりつめた石川だが、同時に幼いころから習慣にしてきたのが「素振り」だった。
「僕は素振りで上手くなってきた」。

オフに原点回帰で「何十回、何百回と素振りをすることによって、回転の速いスイングを、脳や体に覚え込ませようと思った。ボールがないと、当てようという意識がないので、普段よりヘッドスピードが出せる。それを繰り返していると、脳が自分のスイングスピードを錯覚してボールがあっても速く振れるようになるんです」と、石川。

「おかげで軸も安定したし、暑いコンディションの中で、心身共に疲労状態でも、スイングだけは元気というのが実践出来た」という。

再三の300ヤード超えは、飛んで曲がらないティショットでほとんどフェアウェイも外さず、この日のフェアウェイキープ率は85.71%で1位タイ。
チャンスも面白いように決めた。
真夏の芥屋で、終盤もまだまだ余力を残して13番から3連続。
さらに最終18番は、右のカラーから1メートルに寄せて楽々バーディフィニッシュで、単独首位に躍り出た。

これに継ぐ、今年上位での決勝ラウンド進出は、6月の全米オープン。2位で予選を通過しながら、「優勝を狙おうとは思えなかった。それが失敗でもあり、僕がまだ、そこまでの器ということでもある」。
しかし、すでに7勝の経験がある日本なら、遠慮はいらない。
昨年、1打足りずにプレーオフに進めなかった。今年の大会テーマでもある“リベンジ”にむけて、準備は万端整った。

関連記事