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VanaH杯KBCオーガスタゴルフトーナメント 2010

石川遼が7位タイ

その若さで百戦錬磨の18歳は一見、とんでもないミスも平然と乗り切る。この日はインスタートの最終9番で、210ヤードの第2打は3番アイアンで、グリーンの奧の、さらに奧のギャラリープラザまで転がし出す大ハプニング。

食事中だった方もいて、やや騒然とする中で登場したその主は、顔色ひとつ変えず、ごくさりげないしぐさでボールを拾い上げ、そばのドロップゾーンでドロップ。
あまりにも淡々とパーを拾ったものだから、周囲にはやや拍子抜けした空気が漂ったが、それこそが石川の作戦だった。

9番はフェアウェイからのショットにもかかわらず、距離感も合っていなかった。「誰が見てもミスショットではない」と、本人も自覚していた。

それでもなお「OBなら焦りますが、あの程度であれば、平然としていても、問題ない」と言い張った。
むしろ、「たとえばアメリカでも、選手が林の中からどうリカバリーするかを楽しみに見ている方もいて」。
その中で、トラブルにも冷静に対処する姿がまた、感動を呼ぶことを、石川は知っている。
「ミスをミスにみせないそぶり。表情ひとつで、大したミスじゃないのかな、と思ってもらえる」。
それもプロゴルファーの責任のひとつ、と石川は考えたのだ。
「みせる立場の“み”は魅力の“魅”」。

しかし、今年序盤は、なかなかそういう考えに至らなかった。
毎週のように、大ギャラリーを引き連れて歩きながらもなかなか期待どおりの結果が出せず、「良いプレーが出来ないことが続いて、こんなゴルフで良いのかな、という申し訳なさがあった」と、振り返る。

そんなマイナス思考は先週1週間のオフで断ち切れた。海外メジャーを含めた連戦続きは休みを取って、家族旅行を楽しんだり、相変わらず自らをいじめ抜く厳しいトレーニングに時間を多く割くことで、たちまち気持ちが切り替わった。

1週間ぶりのトーナメントは、新鮮だった。
初日から大勢のギャラリーに「拍手で迎えられたことは、凄く大きかった」と感謝と、自信を取り戻して5アンダーは7位タイ。

1打足りずに池田勇太と今野康晴とのプレーオフに進めなかったのは昨年の今大会。今年の大会テーマは「リベンジ」だ。主催者の期待に応えるためにも、申し分ない好発進だ。

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