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UBS日本ゴルフツアー選手権 宍戸ヒルズ 2009

鈴木亨「今日みたいなゴルフをしているときが、一番の喜びです」

192ヤードの3番パー3であわや、ホールインワンのスーパーショット。I・J・ジャンは、賞金のないホールでの快挙達成に地団駄を踏んだが、鈴木はせっかく賞金がかかったホールで惜しくも決められずに悔しがった。

「入れれば100万円だったのに……!!」。
しかしそれ以上に悔しいのは、またしても劇的瞬間を逃したことだ。
「プロとして、ちょっと恥ずかしいんだけど…」と、頬を染めて打ち明けた。
実は9歳から34年のゴルフ人生で、一度も達成したことがない。

「だからホールインワンをするまでは、僕はゴルフをやめられないんですよ」。
千載一遇のチャンスはわずかにカップをそれて、奧から1メートルのバーディに終わり、「入って欲しかった」と、残念がった。

しかしこれが契機となった。
ぐんぐんとスコアを伸ばし、17番パー5はピンそば70センチ。

66の大爆発は、理想の形だ。
下位から大量スコアを出して、優勝争いに加わるパターンが多かったことから「ボンバー鈴木」の異名を取ったのは、20、30代のころ。
「初日パープレーから一気にまくって優勝、なんてパターンもあった」と懐かしそうに振り返る。

43歳を迎えた今、賞金シードの最年長選手として自負がある一方で、以前のような元気はさすがにないかもしれない。

「あちこち痛くて…。遼くんみたいに、一晩寝れば、疲れが取れる年じゃあない」と笑う。
本音を言えば、「これだけ若い子が出てくると、自分の立場が不安になるときもある」と鈴木は言う。
しかし、一方で頼もしいお手本がある。
一時代を築いたジャンボ尾崎や青木功、そして特に尊敬してやまない中嶋常幸は、40代を超えてますます元気だった。

AONをお手本に、自分だってまだまだやれるはずなのだ。

「ビッグスコアのゴルフはやっぱり楽しいから。そういうゴルフをもう一度やりたい」。
今年、厄年をようやく抜けて、またそういう気持ちがムクムクと頭をもたげてきた。

先週はその中嶋と、最終日最終組で回った兼本貴司が涙のツアー初優勝を飾った。
自分はといえば、2日目に大洗で80を打って、傷心の予選落ちをして自宅でテレビ観戦。

思い出されたのは自身ツアー通算6勝目をあげた2002年のJCBクラシック仙台だ。
やはり中嶋とのプレーオフ2ホールを制しただけに、喜びもひとしおだった。
「中嶋さんと回るととてもやりやすい。兼本も、中嶋さんと回れたから勝てたのだと思う」。
あのときの自分と重ね、感動をしみじみと振り返る一方で、もうひとつの事実に気づいた。

兼本は38歳でツアー初V。
「俺は、38歳で勝ったあとにまだ勝ててない」。
2004年のアコムインターナショナルでツアー通算7勝目を挙げたあと、遠ざかったままの勝ち星に、闘志がふつふつと沸いてきた。

「今は優勝の快感を味わいたくて、ゴルフをしているようなもの」という鈴木。

「とにかくゴルフが大好きで、ゴルフが100%に近い生活を送り、今日みたいなゴルフをしているときが、一番自分らしい。今日みたいなゴルフをしているときが、一番の喜びだから」。

まだ手にしていない、日本と名のつくタイトルへの執念もある。
週末も堂々と、ツアープレーヤーNO.1の称号を狙っていく。

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