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東京ドームカップ 2006
チャレンジ賞金ランキング2位 「溝渕洋介」
来シーズンのツアー出場について溝渕は、「生かすも殺すも自分次第。目指していたツアーに出場できるので頑張りたい」と抱負を語る。
溝渕は今年、QT179位の出場優先順位で、チャレンジトーナメントには数試合しか資格がなかったが、第3戦のPGA・JGTOチャレンジIで7位タイとなり、「前週の15位以内」という資格でカニトップ杯チャレンジIの出場資格を自力で獲得した。
そして、プレーオフを制しての初優勝で、賞金270万円と今年のチャレンジトーナメント全ての出場権を得た。更に続く翌週のセガサミーチャレンジで、2週連続優勝を果たした。
実はセガサミーチャレンジに出発する前の火曜日に、溝渕はプロ入り直前に亡くなられたお父さんのお墓参りをしてきた。
お父さんには「勝ちました」と優勝を報告。
そして乗り込んだ翌週の試合で、自身が驚く「まさかまさかの優勝」。
彼のゴルフ人生で衝撃的な2週間となった。
身長187センチ、体重90キロと恵まれた身体を持つ溝渕は、高知県で生まれ、小学校では野球、中学校では野球部がなかったためにバレーボール、明徳義塾高校へ進学したあとはゴルフ部に入部し、15才からゴルフを始め名古屋商科大学へ進んだ。
ゴルフが好きだったお父さんは「高校でゴルフ部に入ったことを喜んでくれた」と溝渕は当時を思い出す。また、「父がプロにさせたかった」という意向もあり、溝渕は迷うことなくプロを目指した。しかし、プロテストに合格する半年前にお父さんは病気で亡くなり、プロとしての息子の姿を見ることはなかった。
プロ転向後、トーナメントへの挑戦を続けるが、なかなか結果が出ない。昨年までの溝渕のツアーでの生涯獲得賞金は282万円余。チャレンジでも僅かな獲得額しかなかった。
その生活を共働きの妻が支える。
溝渕はこれまでのトーナメント生活を「今までは正直、自信がなかった」と隠さず言う。しかしこの2週間でつかんだものの価値は大きい。
2週連続優勝したときのインタビューで溝渕は、共働きの妻に感謝の気持ちを込めて言った。
「妻を支えられるようになりたい」
38才の遅咲きのプロゴルファーが、チャレンジトーナメントでつかんだ来シーズンのツアー出場のチャンスを本当の結果に変えられるか。
「生かすも殺すも自分次第」。溝渕の活躍に注目が集まる。
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