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竹本直哉「いつかウッズに挑戦できる選手に」
ギャラリーに向かって、何度も何度もガッツポーズをしてみせながら、感極まったように竹本は言った。
「もう、ほんとうに楽しくって仕方ない。ゴルフが、好きで好きでたまらない!」。
最終ホールでバーディを取って勝つことが目標だった。
まさに夢に描いていたような展開で、自身2度目の美酒を味わうことができたのだ。
「入れて、勝つ。たまらないこの瞬間。そういう勝負が好きで、これを味わうためにゴルフをやっている。本当に嬉しいです!」と、しばらく興奮さめやらず。
主催の延田グループが、昨年11月にタイガー・ウッズも参加して行われた「マスターズGCドリームマッチ」で集まった収益金を、「次代の選手を育てるために役立てて欲しい」と、ツアーに寄贈してくださったことから誕生したのが、このマスターズGCクラシックだ。
今大会はチャレンジトーナメントにも、レギュラーツアーの賞金ランクにも加算されないが、「どんな優勝にも、特別なものがある」と喜びを語り、「いつか、この大会が開催されるきっかけとなったウッズにも挑戦できるような選手になりたい」と、表彰式で大きな夢もぶち上げた。
まさに、今大会の趣旨にふさわしいチャンピオンの誕生だ。
このツアー特別競技での優勝でさえこんなにも嬉しいのだから、いざ念願のツアー初Vの瞬間は、いったいどれほどの気持ちがするのだろう。
「絶対に実現させたい」。
この勝利をきっかけに、夢はますます膨らんでいく。
優勝スピーチの第一声は、「はじめまして、竹本です!」だった。
地元・関西出身とはいえ、まだツアー未勝利の自分を知らない人が大半だろう、という本人の配慮から出た言葉だが、これを機会にもっともっと名前を売りたい。
次週のレギュラーツアーは兵庫県西宮市のよみうりカントリークラブで行われる「〜全英への道〜 ミズノオープンよみうりクラシック」だ。
やはり地元・関西での開催で、しかもクラブ契約先ミズノが主催。ましてや、上位4人には憧れのメジャー切符までもがついてくる。
今回の優勝を糧に、特に思い入れの深いトーナメントで竹本が2週連続の活躍を狙う。
竹本直哉たけもとなおや
1976年11月25日生まれ、和歌山県出身。
湯浅小6年生まで地元・湯浅町で過ごしたあと、奈良県の智辯学園中学に進み、卒業後に母で女子プロの茂美さんの進めで単身渡米。
パームスプリングスの公立高校に進むと同時にゴルフを始め、UCサンタバーバラ校ではゴルフ部で活躍。
ジュニア時代のライバルに、2003年全英オープンチャンピオンのベン・カーチスや、成長株のジェイソン・ゴアがいる。
帰国後、すぐにツアープレーヤーを目指し、5度目の挑戦となる今年のファイナルQTで23位にランクイン。ツアー前半戦でほぼ全試合に出場できる権利を獲得している。
今大会を含めて通算2勝はいずれもツアーの賞金ランクには加算されない競技で、チャレンジトーナメント、レギュラーツアーではいずれも未勝利。
得意なクラブはサンドウェッジ。趣味は読書とギター。 身長173センチ、体重65キロ。