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ゴルフ日本シリーズJTカップ 2008

手嶋多一「明日はとにかく攻めます」

この日はショットの不振を得意のパットでカバーした。今年の東京・よみうりカントリークラブは例年よりグリーンのスピードが遅めだという選手が多いがそれが、手嶋のタッチとピタリと合っている。

いつも強気なストロークが身上だ。
「上りは、カップの淵にぶつけるくらい強く。でも下りは思ったより速いので、気をつけてラインに乗せる。そのイメージで打ったら、今日は異常に入りました」と振り返ったあと、「…なんかよう分らんですけど、でも5つは出来すぎですね」。

照れからか、謙遜からか。会話の最後はいつも何かしらオチをつけて、煙に巻くのはいつものことだ。

気取りがなく気さくな人柄は、ティショットを打つ寸前まで、いつも誰かしらと談笑している。
良い意味で肩の力が抜けている。気持ちの切り替えが非常に上手い選手でもある。ボランティアの方たちとついさっきまで笑い合っていても、自分の打つ番になるとたちまち勝負師の顔になる。

プレー中と、コース外でのギャップが魅力だ。

欧州ツアーから復帰元年の今季は優勝こそないが、強風が吹き荒れた2日目にイーブンパーで踏みとどまったのは昨年、厳しい環境で揉まれてきた何よりの成果だ。
シード権すら取れず、打ちのめされて戻ったが「昨日の風は、ヨーロッパなら普通ですからね」とこともなげに言える。

慎重な性格だから大きなことは言わないが「明日は去年のBJ(ブレンダン・ジョーンズ)のように、下からまくってくる選手もいると思うから。僕もとにかく攻めていく」と、珍しく真顔で言い切った。

しかし、言ったそばから笑みを浮かべて「明日はしれ〜っと、せこくパットで勝負します」。
さらに「そんなこと言っといて、1アンダーくらいで地味に終るかも」。
さて、本音はどこにあるのやら…。


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