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フジサンケイクラシック 2007
第2ラウンドの残り競技を終えた藤田寛之がショックを受けたことは・・・(大会3日目の第2R終了後)
前日2日目は7番ホールを終えたところで競技持ち越し。再開ホールの8番で、6メートルのバーディパットを決めて、通算3アンダー単独4位でホールアウトした藤田寛之(=写真)が嬉しそうにつぶやく。
「これで遼くんと一緒ですね!」。
しかしアテストを出てきたときには一転。
「遼くんと一緒じゃない・・・」と青ざめた。
決勝ラウンドのペアリングは原則として、成績順に組まれる。だから、「最低でも通算2アンダーのままで上がれば遼くんと一緒に回れる」と思いこんでいたのは藤田だけではなかった。
師匠の芹澤信雄は前夜、わざわざ電話をよこしてきて言ったのだ。
「絶対にスコアは落とすな。遼くんと一緒になれないぞ」。
本人もその気満々で、第2ラウンドの8番でバーディを取ったあとは確実に順位をキープするために、最終9番でグリーンセンターを狙う安全策まで取ったのだ。
しかし、そこには落とし穴があった。実は、藤田が良いスコアを出せば出すほど石川くんから遠ざかっていたことが分かったのはホールアウト後だった。
ペアリングは同スコアで並んだ場合、前のラウンドで先にスコアカードを提出したものほど後ろの組になる。
第2ラウンドの石川くんのスタート時間は7時50分。同スコアで終わった富田雅哉は、インの8時15分。
順調に競技が終われば当然、第3ラウンドは石川くんが富田よりも後の組になるはずだった。
しかし第2ラウンドは朝の一時中断の影響でアウトとインスタート組のホールアウト時間に、かなりのずれが出ていた。
そのため、藤田と最終組のひとつ前で回るのは石川くんではなく、第2ラウンドで先にホールアウトしていた富田ということになる。
藤田が、石川くんのプレーをじっくり見たのは今週木曜日。
テレビでそのスイングを見て「本当に上手いな、と」。
しかもまだ15歳。これほど注目される中で、プレッシャーももちろんあるだろうに、それを感じさせない精神力。
「それを間近で見てみたい」という思いがあった。
藤田自身、周囲には「あまり緊張しない選手」と言われているが、実際の優勝争いでは違う。
「それで負けた経験もたくさんあるだけに、石川くんがどう対応しているのか・・・。どうしても、一緒に回ってみたかったんです」と藤田はいう。
そればかりかこの日は第3ラウンド用に、テレビ写りの良いオレンジのパンツを用意。
石川くんと並んでも恥ずかしくないよう、準備万端でコース入り。
「それなのにガーン・・・ですよ。ああ、どうしようかなあ。違うのにしようかなあ・・・」と肩を落とした藤田。
期待を打ち砕かれたショックは相当大きかったようだ。
しかし、すぐに気持ちを切り替えた。
「弟弟子に変わって頑張ります」。
石川くんが史上最年少優勝を達成した5月のマンシングウェアオープンKSBカップで2位に破れた宮本勝昌は、先週のKBCオーガスタで4年ぶりの優勝を飾り、「遼くんにリベンジだ」と意気込んでいたものの今週、予選落ち。
「僕も、宮本に続けるように・・・。やっぱり、オレンジのパンツを着て頑張ります」と続く第3ラウンドにむけて、気合を入れなおしていた。