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関西オープンゴルフ選手権 2009
富田雅哉(とみだまさや)がロケットスタート!!
その会場で、馴染みのボランティアの方にチクリと言われた。
「優勝してからちょっとたるんでるんじゃないの、みたいなことをけっこうキツイ関西弁でね」。
歯に衣着せぬ物言いに、普段は温厚な選手もさすがにムカっと来て、つい言い返してしまった。
「いや、これでも頑張っているんですけどもね」。
鼻を膨らませてそう答えたものの、確かに4月のつるやオープンで涙のツアー初優勝を上げて以降は、あまりパッとしなかったのも事実だ。
厳しいファンの言葉に、気合いが入った。
この日初日のコース新は、「もう、たるんでる、なんて言われたくない」という強い気持ちのあらわれ。
スタートから快調に飛ばした。インスタートの10番から連続バーディを奪うと、13番から怒濤の3連続。
折り返しの1番からまたバーディ。2番、5番、6番でも取って9アンダーに、7番で「しびれてしまった」と、苦笑いだ。
ティショットでOBを打った。「リキんで右プッシュ」。
しかし、この日選んだウェアのおかげで、引きずらずに済んだ。
ゴルフの調子はけっして良くない。
富田には、インパクトの瞬間にクラブが寝て入るクセがありそのせいで、7番のように右に押し出したり、またそれを警戒して逆に引っかけたりする。
練習は常に、その調整に時間を割くが、それでも時々ミスが出てしまう。
会場の宝塚ゴルフ倶楽部は特に、左右に白杭がちらつくコースで、きっとひとつはOBすると覚悟していた。
「そのときに、暗い色の服だと余計に落ち込むから」。
黄緑のポロシャツと水色のパンツという出で立ちは、うまい具合にその抑止力となった。
ミスショットにもすぐに気持ちを切り替え、ボギーでおさめた。怪我を最小限にとどめて8番ホールできっちり借りを返した。
1.5メートルのバーディで、9アンダーに戻した。
2位に3打差つける驚異のロケットスタートにも、やっぱり気持ちはゆるまない。
「明日以降も丁寧に、どれだけ伸ばしていけるかです。今週は、2勝目につながるゴルフがしたい」。V2をにらんだ。