記事
武藤俊憲、トータルドライビング賞受賞
ドライビングディスタンスとフェアウェイキープ率ランキングの順位をポイント化して換算する同賞で2位のディネッシュチャンドを大差で引き離し、ダントツの23ポイント獲得で、その“第1号”として表彰された武藤は受賞の感想を聞かれて短くひとこと。
「練習とトレーニングのたまものです。それに尽きます」。
最終戦のゴルフ日本シリーズJTカップでも優勝争いの末に5位タイ。
最後の最後まで安定したショットで戦い抜くことが出来た今年いちばんの要因は、体力の強化だった。
まずはそれが資本と改めて思い知らされたのは、昨シーズンだった。
2006年にツアー初優勝をあげて、さらなる飛躍を目指し、前途洋々で迎えた2007年。開幕戦で7位タイにつけ、上々のスタートを切ったのもつかの間だった。
4月にウィルス性の肝機能障害にかかって戦線離脱した。
「完治するには休養を取るしかない」との診断に従って、約1ヶ月の自宅療養。
少し症状が治まった、と思って油断して調子に乗ると一気にだるくてたまらなくなる。
絶対安静を痛感し、楽しみにしていた全米オープンの日本予選も思い切ってキャンセルして、治療に専念。
そのかわり、復帰戦の「ミズノオープンよみうりクラシック」で2位タイにつけ、2年連続で全英オープンの出場権を手にしてひとまず鬱憤を晴らしたものの、忸怩たる思いは残った。
「1年間、集中力を切らさず戦い抜く体を手に入れたい」。
そんな思いから、小林宏平トレーナーと新たに契約を結んだのは今シーズン。
「アスリートゴルファーを目指そう」との合い言葉をもとに、これまで以上に体をいじめ抜いたのはこのオフ。
地元・群馬県の所属先、赤城カントリー倶楽部でラウンドした記憶はほとんどない。
コースで一番きつい傾斜を選び、何度も何度も駆け上る。
体が悲鳴を上げるまでダッシュしてもまだ許してもらえず、小林さんに恨み言をこぼしたこともあるが、そんな地道な日々こそが栄冠を呼び込んだ。
その成長ぶりにいち早く目をつけて、「武藤くんはそのうち必ず化ける」と予言していたのは今年、米ツアーから帰国したばかりの丸山茂樹だ。
武藤がツアー2勝目をあげたのは、そんな矢先だった。
今季10月のコカ・コーラ東海クラシックでルーキーの池田勇太との死闘の末に、難攻不落の三好を制して丸山の言葉を改めて証明してみせた。
さらなる野望を秘めた来季。
課題は、パッティングの向上だ。
「どうしても、そこから自信のなさが出てきてしまう。この部分をなんとかすれば、もっと優勝争いできるはず」。
ランク46位の平均パット数の克服こそ鍵を握ると自覚している。
※トータルドライビング賞を受賞した武藤には、社団法人 日本ゴルフツアー機構より記念のトロフィと副賞として、株式会社東洋丹芝園より『最強のサプリメント“楊貴芝”1年分』が贈られたがそのプレゼンターとして、永久シードの倉本昌弘が登壇。受賞式に大いに花を添えた。