アマチュア時代に獲得したタイトルは、２００６年の日本アマ連覇を含めて「30個くらいかなあ…」。そう首をかしげる本人のかたわらで、ぷるぷると首を横に振ったのは同じ韓国出身のドンファンだった。

「いいえ、間違いなく彼はもっと一杯勝ってます！」。
ナショナルチームでともにしのぎを削ってきたドンファンは、彼の強さも怖さも嫌というほど知っている。

母国でついたあだ名は「鬼」という。アマチュア時代には誰も追随する者がなく、「鬼のようにゴルフが強い」という意味から、そう呼ばれるようになったとドンファンは、畏怖をこめてそう証言したものだ。

ファイナルＱＴランク38位の資格で本格参戦したプロ２年目の今年は、随所でその片鱗をのぞかせた。普段は人の良い笑顔で応じるくせに、ひとたびコースに出れば、射貫くような鋭い視線で次々とピンを刺した。

特に圧巻は９月のＡＮＡオープンだった。
大会２日目に、左の林越えの17番パー５で手前４メートルに乗せてイーグルを奪うと、翌３日目はなんと16番パー３で、ホールインワンを達成して賞金500万円を手にしている。

１イーグルを獲得するために要するラウンド数として算出するイーグル率賞で7.67％を記録して、ダントツの１位獲得はまさにこの週に決定づけられたといってもいいだろう。

アマチュア時代にすでに、プロのトーナメントで１勝を上げているスター選手は２００７年にデビューするなり今季の韓国ツアーではいきなり３勝をあげて、賞金王にも輝いている。
日本ツアーでは賞金ランク49位につけて、軽々と初シード入りを果たした。

来季から２年間、ドンファンが兵役で日本を留守にする。
その間に金が、まさに数々の“金字塔”を打ち立てることは間違いなさそうだ。

※イーグル率賞を受賞した金には社団法人　日本ゴルフツアー機構より記念のトロフィと副賞として、ＡＮＡインターコンチネンタルホテル 東京より『ディナー付き ペア宿泊券』が贈られました。

金庚泰（キムキョンテー）
1986年９月２日生まれ、韓国出身。10歳からゴルフを始め、２００６年に日本アマ連覇。同年には韓国アマ、プロの大会でも２勝。アジア大会金メダルの実績が認められ、韓国の成人男子の義務とされる兵役免除の特権を受けた。昨年プロ転向は同年12月。今季の韓国ツアーでいきなり３勝をあげ賞金王の座に。
身長175センチ、体重70キロ。趣味は音楽と映画。目標とするプロはアーニー・エルスと母国の英雄ＫＪチョイ。

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