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カシオワールドオープン 2010
桑原克典もシード落ち・・・
意気揚々とホールアウトしてきた直後に、悲劇が待っていた。話はハーフターンまでさかのぼる。
出場選手102人は日照時間を考えても、この時期としてはかなり多いが、「シード権争いの選手が出来るだけチャンスを得られるように」との大会側の配慮がある。
その分、インターバルで待ち時間がかなり出る。
スタートが、まだ終わっていないためで、長い選手なら後半の9ホールまで、約50分間ほど待つことになる。
その間に、どう集中力を保つか、また体の柔軟性を保持するかが、それもひとつの選手の力量となるが、桑原はちょうど足の痛みを抱えていたこともあり、素振りを繰り返すことで時間をつぶしたのだが、そのときに握ったクラブが問題だった。
グリップに重しをつけた形の練習用機具で、これがゴルフ規則「14−3」に抵触した。該当箇所にはこう記してある。
「人工の器機、異常な用具と用具の異常な使用により、失格」。
インターバルといっても、それはあくまでもプレー中の行為とみなされ、本人は「ストレッチの目的だった」と、もちろんルール違反という意識もなかったから、指摘を受けた際のショックはなおさら大きかった。
「情けない」と桑原。「今は何も言えない」と、しばらく言葉を失った。
まさに起死回生をかけた今年最後の挑戦は、思いがけず2日で終焉を迎え、重い足取りで会場内に設けられた、ファイナルQTのエントリー場に向かった。
「まだ、今は気持ちを切り替えられないけれど。切り替えていかなきゃいけないよね」と終始、うつむき加減でコースを後にした。
そしてこの日はもうひとり、失格となった選手が。谷昭範は、16番で「7」を「6」と、スコアカードに誤って記入してしまった。
現在、賞金ランキング69位はとにかく最終戦の今週は、最低でも予選通過をして、足場を固めておかなければいけなかった。
現時点では初シードの圏内にいるが、最終日の他の選手の結果いかんでは、来季のシード権が得られる上位70位から、弾き出される可能性もある。
逆転のシード入りを狙う田中秀道や、深堀圭一郎が上位で争っているだけにこの週末は自宅で、ひとまず次週のファイナルQTに行く覚悟もしつつ、針のむしろで吉報を待つばかりになってしまった。