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マイナビABCチャンピオンシップ 2010
アマチュアの櫻井勝之くんが好スタート
ツアー初出場は、今年9月のパナソニックオープン。そのあとも、日本オープンと先週のブリヂストンオープンと、3度のチャンスがあったがどれも生かせなかった。
いずれも予選落ちを喫し、石川にも「悔しい」とこぼしたそうだが、「櫻井先輩はドライバーが飛ぶし、ヘッドスピードが速いだけあって、アイアンショットも魅力」と石川も褒めた逸材は、ただ手をこまねいているだけではなかった。
予選落ちを喫したその日にも、夜11時まで練習場に腰を据え、翌朝は9時から打ち込んだ。
「僕はすぐにリズムが速くなる。スイングで、ゆっくりとテイクバックを上げるように修正した」。悔しさをバネに積み重ねた練習の成果を出した。
この日5バーディは、そのかわりに「簡単にボギーを打ってしまった」と、4番、17番のミスを悔やんだが、雨風の強い難条件での69に、「このコンディション中で、しっかりチャンスにつけているということは、ショットが切れている証拠」とは、これまた石川の弁。
本人も「試合でアンダーパーは満足」と、自信のつく好発進となった。
「いまも尊敬している」という先輩・薗田にも、石川にも1打リードで初日を終えた。
先の日本オープンで、優勝争いの末に3位タイと大健闘した東北福祉大1年のアマチュア松山英樹くんは、8月の日本学生の最終日に同じ組で回って破った相手だ。
石川と、プレーオフに挑んだのは中3の関東中学校選手権。2ホール目に石川にイーグルを奪われて「勝ち目ない」と、白旗をあげた思い出。
ジュニア時代からしのぎを削ってきたライバルたちの活躍に「僕もやらなくちゃ!」と刺激を受けて、またひとり注目の若手が名乗りを上げた。
近ごろは大学の試合とツアーの掛け持ちで、「やつれて食欲もあまりない」と、75キロの体重が68キロまで落ちた。
同時に「飛距離も落ちた」というが、それでも178センチの身長から繰り出す平均290ヤードは、飛ばし屋のプロと回ってもなんら遜色ない。
高校3年の春に、米フロリダ州のタンパに“ゴルフ留学”。今田竜二とともに、リッチ・エイブルコーチの指導を受けた。一方で、アメリカでの学生生活には馴染めず4ヶ月で帰国したが、「あれがすべてだった」と本場で培ったものは、大きかった。
「日本で結果を出したら、次はアメリカで活躍してみたい」と夢を語る20歳。そのために、一段ずつ着実に階段をのぼる。
「とりあえず明日、予選を通過しないと!」。
ツアーで初の決勝進出が、目下の目標だ。