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キヤノンオープン 2010

2週連続優勝がかかる、松村道央(まつむらみちお)

昨日までの3日間は、携帯電話が手放せなかった。「出ても、出てもまたかかってくる」。先週の「コカ・コーラ東海クラシック」でプレーオフ3ホールの末に、悲願のツアー初優勝を飾った。祝福の電話はテレビ中継が終わったころから鳴り止むことがなく、留守番電話もパンク状態。

そのひとつひとつに律儀にかけ直すしりからまた着信が入り、すべて対応し終わるまでに、丸2日を要した。

「大変でしたけど、こんな苦労なら、いくらしてもいい」。
ウィニングパットを決めた瞬間は、「実感がわかない。夢みたいな感じで」と、戸惑うばかりだったが、週があけてこの日水曜日のプロアマ戦でも、次から次へと握手を求められれば、そろそろこう思わずにはいられない。

「優勝するって、こういうことなんだ」。

“師匠”からも電話をもらった。このオフ、宮崎合宿に参加してからというもの、何かと気にかけてくれる谷口徹は先週の最終日に18番グリーンで直におめでとうが言えなかったことを、まず詫びた。

「先に帰ってしまって申し訳ない!」。

もっとも谷口だけでなく、前半の9ホールを見ただけでは、誰も松村が勝つとは思わなかっただろう。
2番でボギー、6番でダブルボギーに谷口も、「前半、あれだけ打つからもうお前の優勝はないだろうと思って・・・」。

確かに、本人だってその時点では夢にも思っていない。
それだけに、本戦は72ホール目のバーディパットは「本当にあんなのをよく入れたな、と」。

池に向かって打つ下りの14メートルは、あとでテレビを見るにつけ、つくづくと本当に自分がやりとげたことなのかと疑ってしまう。
「勝つときって、ああいう感じなんですね」と、改めてしみじみと言った。

今週は、2週連続Vの権利を手に入れて、ひそかに闘志を燃やす。
「先週の勢いのまま、臨みたい」。
次週の日本オープンでは谷口が、初優勝のご褒美にステーキをご馳走してくれることになっている。
“師匠”との祝勝会で、またもうひとつ良い報告が出来るよう。
7日(木)の大会初日を迎えるころには先週の余韻もすっかり消して「試合モードで今週も、しっかり攻めて行きたいです」と、27歳が血気盛んだ。

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