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長嶋茂雄 INVITATIONAL セガサミーカップ 2010

矢野東は「ようやく行けます」

16番のパー3でダブルボギーを打っても、気落ちはなかった。「そんなことも、気にならないくらいに今は、晴れやかな気分なんです」と、矢野は言った。

「ゴルフが楽しくて仕方ない」。
こんな気持ちは久しぶりだ。
「……2008年以来かな」と一瞬、遠い目になった。

10試合連続のトップ10入りという快挙達成の皮切りが、同年の8月だった。その間にANAオープンとブリヂストンオープンで、いずれも片山晋呉との最終日最終組を制して自身初の年間2勝。

そのあとも、片山とは最後まで賞金レースを争って、賞金ランクは自己最高の2位と躍進。自身初の1億円も突破した。

それほどの選手が今季は、まだこれまで予選通過は2試合と、苦戦が続いていた。
ゴルフに「究極を求めていたから」だという。
スコア以上にこだわったのは、ショット時に「自分が気持ち良く、振れているかどうか」。

さらなる高みを求め、スイングを模索するうちに、迷路に迷い込んだ。
ちまたに溢れるレッスン書、ゴルフ理論。「たくさん情報がある中で、選択肢が多すぎて、ハマってしまった」。
整理して、自分のものにするまでに、「2年近くがかかってしまった」。
こんがらがった頭は内藤雄士コーチと、あふれかえった引き出しをいったん空っぽにして、「シンプルに考えるようにした」ことで、しかるべき場所に収納された。

「何も考えずに気持ちよく振れて、球筋も良く、結果も良い。やっと求めていた三拍子が揃った」と、明るい笑み。
ショットに迷いが無くなれば、グリーン上でも新しいことに挑戦する余裕が出来る。

この日はまず早朝6時半から、前日初日に日没サスペンデッドとなっていた第1ラウンドの残り9ホールをこなし、続いてスタートした第2ラウンドは4番ホールから、いきなりパッティングで「人生初」というクロスハンドのグリップにトライ。
「アドレスのときに、肩のラインがスクエアになって、顔が残る。フォローでヘッドが低く出る」と、さっそく効果てきめん。
次の5番から怒濤の4連続バーディで波に乗り、同時に気持ちも乗ってきた。

ひとまず暫定4位タイにつけて、「ようやく行けます。今週からです」。
矢野の2010年は満を持して、いまようやく開けた。

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