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賞金王が始動……!!

年末年始にかけて、日本列島を襲った猛烈な寒波は母国・韓国でも例外ではなく、氷点下の日もざらだったそうで、それだけに初のアジア代表として参加した「ザ・ロイヤルトロフィ」では一転、真夏の青空を喜んだ。

会場となった常夏の国タイでは、「やっぱり球もよく飛ぶし、体が動くよ!」と金庚泰 (キム キョンテ)。むしろ「動きすぎて」いざ初日はかえって調子が狂ったほどだ。

暑さで飛距離も稼げるのはいいのだが、その分、球が散らばる。
真冬の韓国では、あまりの寒さにラウンドはおろか、ショット練習もほとんど出来なかったそうで調整不足も相まって、何より安定感が武器の選手が大事なチーム戦ではそれが生かせず苦しむことに。

池田勇太とペアを組んで挑んだフォアサム競技で惨敗し、アジアチームのキャプテン尾崎直道も新年早々の賞金王の不振を見てとるや、2日目は荒療治に出た。

腰痛を抱えながらも執念のエントリーを果たしたインドのジーブ・ミルカ・シンと、あえて組ませたばかりか、2人をこう言って送り出したのだ。
「今日はもう、勝ち負けにこだわらずに気楽にやって来い!」。逆にこれに発奮。たちまち本領を発揮して、痛みを抱えるミルカ・シンを全力でカバー。その日、チームの4戦全勝にしっかりと貢献してみせたのだった。

その後、いったん母国に戻った金は1月15日から、大親友のエディー・リーとともに米フロリダ州に渡り、今はもっぱらトレーニングに汗を流している。石川遼と、池田との三つ巴の賞金レースを争った昨シーズンは出場21試合すべて予選通過を果たしたばかりか最低順位は33位タイ。

バツグンの安定感は、最後まで揺るぎなかったが、それでも本人は「後半、少し疲れてしまって。体力不足を痛感した」との反省から「今年のオフは、まずはしっかりと体を鍛えて新しいシーズンに備えたい」と、課題を口にしている。

また、母国ツアーでは賞金王に輝いたデビュー2年目の2007年を最後に勝ち星から遠ざかっており、「今年はぜひ韓国でも勝ちたい」と、目標を掲げる。
そして、日本ツアーではもちろん2年連続の王座を視野に入れている。
「去年は5月に初優勝をあげてからずっと調子が良くて。秋を過ぎてから、強く賞金王を意識するようになりましたが、今年は最初から狙っていきます」と、言い切った。

アメリカにはこのまましばらく居座って、米ツアーにもいくつか参戦する予定という。
いよいよ4月には、夢の舞台も待っている。初出場のマスターズトーナメント。「オーガスタはゴルファー全員の夢ですから。私もとても楽しみにしています」。
賞金王も、今から春の訪れを待ちわびている。

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