記事
コカ・コーラ東海クラシック 2011
藤田寛之は「優勝したい」
特に後半は13番で8メートルをしのぎ、16、17番で4メートルのパーパットを拾った。
ツアーきってのパット巧者も近ごろ、グリーン上の不振を感じて、練習量を増やしていたときだった。
「普段なら10分、15分で済ませるところを最近は1時間。自信を無くしていたときだったので。練習の成果が出ているのなら嬉しいな」。
常に、反省・向上を心がけているショットも、今週はテレビ解説で訪れている師匠に木曜日にアドバイスを受けて、改善のヒントを掴んだ。
「テイクバックが手で上がっている」と言われて迷いが減った。優勝争いに加わってきた。
昨年の今大会は、単独3位で最終日を迎えた。そして今年は2位タイに「一番好きなポジション。だから後続の人は、今からスコアを落とさないで」と、最終組の6つ前で上がって、妙な懇願をした。
念願かなって1打ビハインドに「僕は2番手、3番手のほうが集中出来るし、後ろに控えていますよというほうが、面白い」と計算どおりの展開に、ますます気合も入る。
自身初の4大メジャー全出場を果たした今季は、そのたびに打ちのめされて帰ってきた。「こんな僕でも日本では需要があるが、向こうでは売れない商品」。
ボヤキながらも帰国をすれば即、何時間でも練習場に居座った。
「アメリカでは飛ばないと、通用しない。まったくと言っていいほど相手にされない」。
パワー不足を痛感するほどに、「飛ばすためには基礎体力」と、毎月曜日のトレーニングで体をイジメた。
おかげで、ピーク時のスイング速度は毎秒50メートルを記録して「300ヤードも飛ばせる」と、胸を張る。この日3日目は、飛ばし屋の諸藤将次との同組対決も、26歳を相手にムキになる。「力が入ってしまった」と、苦笑した。
昨年は2年連続で年間2勝を挙げて、賞金ランクも2年連続のトップ5に入った。しかし今季はまだ未勝利に、「勝ちたい」と、強い決意を口にした。
「またあの舞台に戻るために」と藤田は言った。何度跳ね返されても、まだ懲りない。「またメジャーに挑戦したいので。そのためにも、勝つことが大事なので。勝って賞金を加えてまたトップ3に入っていかなければいけないので。そのために、優勝したい」と、貪欲だ。