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タイトル奪還を狙う、JGTO!!
大会前日は11日の土曜日。大会に先駆けて、3ツアーの出場18選手が会場の千葉県・キングフィールズゴルフクラブで一同に会して行われた記者会見。
まずは口火を切ったのが、JGTO会長の小泉直(こいずみただし)だ。
腹の底からよく響く声で、高らかに宣言した。
「JGTOは、何が何でも勝ちに行きます!!」。
昨年は3位。つまり、最下位に沈んだ屈辱を忘れてはいない。
昨年に引き続き、2年連続で代表入りを果たした藤田寛之は、なおさらだ。また今年も最年長メンバーとしての重責も相まって、マイクを握った手に力がこもる。
「昨年もそうでしたが今年はいっそう、どこに出しても恥ずかしくない選手が揃い、みんなで心をひとつにして、最下位から脱します!!」。
恥ずかしげもなく闘志剥き出しのニッポン男児に、やまとなでしこも黙っちゃいない。
女子チームはLPGAの、樋口久子会長がムキになって言い返す。
「みなさん、ずいぶん勝負にこだわっていらっしゃいますけど、この大会の趣旨はジュニア育成と、チャリティですから!」。
そう牽制したしりから、「私たちも負けません」とつい、本音にも力がこもる。
言い争う男子と女子を横目に、余裕すら漂わせたのがシニアツアーのPGAだ。いつもなら、この舌戦にいち早く割って入ったはずの面々が、今年はなぜかおとなしい。まずは、代表してマイクを握った尾崎直道は、「僕ら全員、緊張しているんですよ」と、むしろどこか初々しい。
その理由は今年、全選手が初出場だから。しかも最年長メンバーは、賞金王の倉本昌弘を筆頭に、全体に若返った。
といっても、男子の28.3歳と、女子の25歳に対して平均年齢52歳は当然のことながら、ダントツなのだがあくまで例年と比べると、フレッシュなメンバー揃いは出場を前に、他のシニア勢から宿題を渡されたという。
もしも今年、連覇を逃したら、シニアツアーは6月の開幕戦でみんなの前で、全員土下座の罰ゲームが待っている。
「そういうプレッシャーもありまして」と、苦笑いのジョー尾崎。
毎年、この日立3ツアーズ選手権は、テレビ解説としてマイクを握り、画面を通して熱戦を見てきた。
「みんな和気藹々ですごく良い雰囲気だと思っていたのに。実際にここに座ったら、居心地が悪いですね」と、どこまでもしおらしく体を縮める。
「男子も女子も何か“持ってる”人ばかりなのに、シニアは何か持っていたのに使い果たした選手ばかり」と、おやおや今年は戦う前から白旗か?!と思いきや……。
ひとつ突破口を見付けた途端にほくそ笑む。
「あ、そうだ! 僕らには、芹澤くんという強い味方がいましたね!」。
当日は、前半のオルターネートのダブルス戦で、新メンバーの芹澤信雄が倉本と相まみえるのは、弟子の藤田と宮本勝昌。
若かりし頃は、兄率いるジャンボ軍団でもそうだった。「最後は後輩が、先輩に美味しいところは譲ったものです。今回も芹澤くんが、前半に必ずや6ポイントを持ち帰ってくれるでしょう」と、たちまち“口撃”に転じたマムシのジョー。
確かに藤田、宮本にはやりにくい。まして宮本にとって倉本は、母校・日大の大先輩でもある。藤田も「ジュニア時代から憧れていた倉本さんと、今日も練習を見てもらい、いつもとってもお世話になっている芹澤さんですが、勝負は時の運。2人との対戦を、楽しみにしています」とまずは優等生に終始して、「いいこと言うねえ」(倉本)と、敵の油断を誘う作戦?!
それぞれの思惑を乗せて、いよいよ熱戦の火ぶたが切られる。今年最後に笑うのは、シニアか女子か、我らが男子か……!?