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三井住友VISA太平洋マスターズ 2011
鈴木亨が首位キープ
この日3日目はティショットが安定しなかった。前半のインコースは、「18番まで右に行くことが多かった」。
微調整しながらのラウンドは、16番や折り返して1番は、意識しすぎて今度は左の林へ。
「でも、そこで良いリカバリーが出来た」とパーでしのいで、持ち直した。
後半は3つのバーディで、首位を守った。
現在賞金ランク101位は、ここで一気に遅れを取り戻すビッグチャンスの到来に、45歳が目をシロクロさせる。
「何しろ先週まで7試合で落ちてる選手。とにかく目の前のことで精一杯で」と苦笑する。
首のヘルニアに苦しみ、9月から間に棄権1回を挟んで出場6試合の予選落ちが続いていた。女子プロの妻・京子さんと、アイドル歌手として活躍する長女の愛理さん、長男・貴之くん。
ツアーきっての仲良し家族も父親のふいの快進撃に、気を揉まないわけはない。
「だけど、鈴木家には掟がある」。
日課のラブコールでも、その点にはあえて触れない。「悪いときは、全員から叱咤激励が飛んでくるけど良い流れのときは、あえてみんな余計なことを言わない」。家族の無言のゲキが、父親にはなおさら肥やしだ。
「子供たちの尊敬に値する父親でありたいと思う」。
昨年で18年目のシード権確保は、現在のシード選手の中では最長記録も、父親が誇れるひとつである。ぜひとも、継続したい記録である。
54ホールの短縮競技は、最終日の第3ラウンドで、19歳と直接対決。
2打差の単独2位には、石川遼と同学年のアマチュア。松山英樹さんの猛追に「すごいね!」とここでも目を丸くしながら、45歳の胸は躍る。
自分の息子といってもいい選手との優勝争い。「そんな子と、一緒にやれるスポーツなんて、他にない」と、ベテランが腕をまくった。
「明日は、楽しんでやりたいね」。昨年のダンロップフェニックス以来の最終日最終組。2年ぶりのツアー通算9勝目をガツガツと狙うというよりは、まずは久しぶりの雰囲気を、心ゆくまで味わうつもりだ。