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日韓対抗戦「MILLION YARD CUP」の代表出揃う
3年連続3度目の采配を振るのはもちろんこの人、世界のアオキこと青木功だ。
今年は、リベンジのタイトル奪還に並々ならぬ闘志を燃やすキャプテン・アオキ。しかも、今年は4回目にして、初の日本開催である。ホームでの戦いに、「日本のファンのみなさんに、ぜひ優勝を見せたい」との熱い思いに答えるのに、申し分ないメンバーが今年も顔を揃えた。
最年長には44歳の谷口徹。今年の会場は、長崎県のパサージュ琴海アイランドゴルフクラブが舞台だ。2010年の日本プロは、同コースのチャンピオンが谷口だ。最終日はあまりの苦闘に声も出なくなったほど。「あそこは、トリッキーで、パワーだけでも通用しない」という難条件を制してプロ日本一の座についた経験は、チームに多大なメリットをもたらすことは間違いない。
続いて、43歳の深堀圭一郎は足の裏の骨膜炎からの復帰元年の代表入りに、「日本と韓国はゴルフ以外のスポーツでも良いライバル関係がある。互いに熱いゲームをお見せ出来れば」と、対戦の時を心待ちにしている。
42歳の藤田寛之は、この日韓戦は第一回大会の2004年からの常連メンバーだけに、団体戦の醍醐味は、骨の髄までしみている。「最初はなんとなく始まったチームが最後は必ずひとつにまとまっていく。最終日のシングルス戦は最高に盛り上がる。今年も良いムードの中で、最後は勝てればいい」と、さっそくリベンジも視野に入れた。
一昨年の代表入りに、青木から「お前は肝っ玉が小さいんだろう?」と指摘を受けた小田龍一は2年ぶり2度目の出場に「今年も青木さんの仰せの通りに」と、相変わらず控えめだ。
昨年もコンビを組んだ近藤共弘と高山忠洋。息もぴったりのチーム戦も、残念ながら母国の勝利には及ばなかったが、今年も褒め合い、たたえ合いの精神が、鍵を握りそうだ。
会見でも早くもその傾向が。高山が「昨年は近藤選手に支えられて頑張れました」と言えば、近藤も「わがままでやりたいようにやる僕ですが、高山くんとはお互いにごめんね、と謝り合いながら、良いムードで出来ました」と、頭を下げ合う。
この日韓戦の代表メンバーは、昨年の賞金ランキングの上位4人と、今季は開幕戦から計5戦の獲得賞金の上位4人(いずれも外国籍選手を除く)と、そして残る2人はキャプテン推薦で決まる。
池田勇太は今年、青木の指名を受けて2年連続2度目の代表入りだ。昨年は最終日に、裵相文(ベサンムン)に、9打差の5オーバーで大敗した。「勇太には、去年の悔しさがある気がして」。青木にリベンジのチャンスを与えられた池田は「今も無性に腹が立つ。この気持ちを晴らさないと」と、今からメラメラ燃えている。
そしてもうひとりのキャプテン推薦選手は藤本佳則。デビューから4戦ですでに獲得賞金が2000万円に届こうかという破竹の22歳に、先輩が望みを託した。
「今回は藤本、お前がいけ!」と、指令を出したのは東北福祉大の先輩の谷原秀人だ。
谷原には苦い記憶がある。第1回の2004年大会だ。最終日は引き分けの接戦に、プレーオフで決着をつけることになった。そこでかり出されたのが当時、最年少メンバーだった谷原だった。しかし韓国のY・E・ヤンにこてんぱんにやられた。日本は惜敗をなめた。
「その話には、触れないで下さい」と憮然と、「あのときは、嫌な思いをしました」と振り返るにつけても、今度こそはの思いが募る。
そして谷原に、その“指令”を受けた藤本は、「下っ端なんでね。言われればやるしかない」と、そこは体育会系のノリで早くもプレーオフを想定して、尋常ならぬ重圧に挑む覚悟も!?
学生時代からマッチプレーや団体戦の経験豊富なのが頼もしい若きメンバー。青木が買ったのも、今季の活躍に加えて、その部分だ。「日本の勝利に少しでも貢献できるように頑張りたい」と、殊勝に話した。
あとは、いま米ツアー遠征中の石川遼も合わせて、ベテラン、中堅、若手がバランスよく揃ったチームができあがった。10人のサムライがいざ、リベンジへ。心をひとつに、タイトル奪還を目指す。