記事
JCBクラシック仙台 2003
『迷っちゃいます』昨年は、2本のパターをバッグに入れて戦った時期もあるほど、パットに悩める米山 剛が3位タイ浮上
「やっぱりダメだ・・・」
ちかごろいちばん苦手としている距離が残り、「今週も、予選落ちだ…」
17番まですべてパーでまわって、通算イーブンパー。予選カットギリギリのスコア に、いったんは絶望した米山だった。
だが、諦めながら打ったそのパーパットがど真ん中からカップに滑り込んだことで、 途端に息を吹き返す。
「まだ9ホール残ってる」
ハーフターンの1番、2番で3メートル、3番で1メートル。4番では、手前30ヤードの第 3打をチップインイーグルだ。
さらに7番で第3打を50センチにつけ、8番では7メートルのバーディチャンスを決めて 連続バーディ。通算7アンダー3位タイで、一挙に優勝争いに突入だ。
昨年から、ずっとパッティングに苦しんできた。夏の試合で、普通丈のパター と、長尺パターの2本をバッグに入れて戦ったこともあった。長い距離のパットと、 OK距離を打ち分けるためだった。
それほどまでに悩んでいたのだが、試合でパター2本を使い わけるためには、デメリットも多かった。 ひとつはラウンド時、クラブの総本数を規定の14本にするために、毎回、パターのか わりに他のクラブを1本、バックから抜いて戦わないといけなかった。
「コースによって、4アイアンを出したり、5アイアン出したり。このコースでは、ほ とんど使わないと思われるアイアンをパターを2本入れるかわりにバッグから抜いた りしていたんですけど、それがけっこう面倒だったんです」。
それに、精神面でも悪影響が出た。バッグにパターが2本あることで、プレー中、何 か気持ちがフラフラと定まらないのだ。
結局、しばらくしてすぐに長尺パターを抜いて、そのあとはずっと、「普通の長さの パター1本でやる」と決めて戦いを続けてきた米山。
しかしここにきて、また心がぐらついている。
再び長尺パターの誘惑にかられているのだ。
前日初日は、いつもにもましてパットが入らなかったため、ホールアウト後に教えを請 いにいったのが兼本貴司。
ツアーでも数少ない、長尺を操る選手のパターを借りて打ち方を教わったところ、 「肩でストロークする打ち方が身について、急に思ったところに打てるようになった んですよ」この日初日は、「いきなり変えるのは、思い切れず」結局、普通丈のパ ターでプレーはしたものの、前日の長尺パターでの練習が、良い影響を与えてくれた ことには間違いなかった。後半からの快進撃も、その成果だったのだ。
「やっぱり、僕には、長尺のほうがいいのかなあ」と米山。「・・・でも今日はとりあ えず、普通丈のパターで結果が出たことだし、う〜ん・・・どうし よう?!」
悩みに悩んだあげく、今後、いずれのパターを使っていくかの最終決定は、まずは 「決勝2日間を戦ってみてか ら」と結論。再来週以降、米山がどの長さのパターを選び取るかは、今週の成績次第 となっ た。