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三井住友VISA太平洋マスターズ 2010

3位タイの上田諭尉は「一度、地獄を見ればいい」

華やかな賞金レースが繰り広げられるこの時期、同時に激化するのが選手たちの生活をかけた戦いだ。
賞金ランク上位70人に与えられるシード権。
その確保に奔走する選手たちにとってもいまがまさに正念場だ。

4アンダーは3位タイの好発進をした上田もそのひとりだが、「シード落ちなんか、怖くない」と言ったのは、強がりだけではないようだ。

確かに昨年の今頃は、「びびりまくってゴルフが出来なかった」という。
しかし、賞金ランク79位につけるいまは「覚悟が出来ている」。
この心境の変化は何なのか「分からない」と、本人にも明確には説明がつかないようだが、「一度、地獄を見ればいい、という考えがあって・・・」。

そこから這い上がることで、「本当にやるべきことが、見えてくるのではないか・・・」。自らに荒療治を課すことで、新境地が開けるかもという予感があるからなのだそうなのだが、それもすでに、半分は見えているのかもしれない。

きっかけは先月のブリヂストンオープンだった。
久しぶりに、弟の崇宏さんが、バッグを担いでくれた。
2007年に、ツアー初優勝に導いた“エースキャディ”は兄のスイングを見るなり、すかさず弱点を突いた。

「練習場ではそうでもないのにコースに出ると、テイクバックのタイミングが凄く速くなっている」。
今でも大事な場面でその悪癖が出ることがあり、この日初日もシャンクして池に入れたり、6番ではOBを打ってダブルボギーを打ったり、ミスもあったが奪った8バーディは、それを補ってあまりある。

最終9番はチップイン。
好スタートに、明るい兆しが見えて来た。
今週、トップ3以上なら大きく前進するが、覚悟を決めたからには、余計な欲には振り回されない。「何位に入ろうとかシードのことは考えず、楽しんでやりたい」と、ひたすら目の前の1打に集中するつもりだ。

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