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日本プロゴルフ選手権大会 日清カップヌードル杯 2011

河井博大が首位を死守

ショートアイアンで、OKバーディを奪った2番や5番。3メートル前後のバーディチャンスを決めた13番や16番もさることながら、本人が「ある意味で僕らしくない」と、半笑いで振り返ったのが、この日幾たびも拾った2メートル前後のシビアなパーパットだった。

「僕の課題中の課題」と、自覚しているのがちょうどその程度の距離のパッティング。
「それが今のところは決まっている」と、本人も目を丸くしたのは大目玉のバンカーから
2メートルに寄せてしのいだ9番や、3番のボギーのあとの4番ならなおのこと。
「僕はこういうときに崩れるパターンが多いので」と、この日のターニングポイントとしてあげたほど。

そしていよいよ18番は、「かなり緊張していた」。その中で、18ヤードの長いバーディパットが打ち切れず、これまた2メートルを残した。
「ほんとうに、凄くしびれた」というパーパット。
これを沈めて首位を死守。
「最後も、狙ったところに打てました」と、パーセーブのガッツポーズも飛び出した。

まだチャレンジトーナメントで戦っていた時代にどうしようもなくなって、長尺パターを握ったこともある。「試合になると、インパクトの瞬間にフェースがかぶって引っかかる」。その防止に一昨年前から逆手で握る。

2年ほど愛用していたピンタイプのパターを、先週から「初めて使う」というマレット型に変えたり、さまざまに工夫を凝らして苦手の克服に取り組む中で、今週「これは」と思える“逸品”に出会えたのも大きい。

石川遼の父・勝美さんが考案したインパクトボックスというパター用の練習器具は、昨年10月のトーナメントで石川が使っているのを見て、非常に興味を持った。
「・・・でも、遼くんに聞いてみる勇気がなくて。ただ指をくわえて見てただけ」。

憧れの品を見つけたのは今週、月曜日だ。宿泊先近くのゴルフ量販店で39歳が、思わず無邪気な声をあげたほど。「うわ〜! あったあった!」。
それと一緒に、約2メートルの長さのパターマットを掴んで嬉々として、レジに並んだ。
しめて4100円。「一瞬、考えましたけど。これで稼げるのなら」と、奮発(?)した。
ほぼ毎晩、宿で特訓に励んだ。

この3日間を振り返る限り、効果は確かにあった。「これだけやったのだから、という自信を自分につけるため。インパクトボックスは、僕にはかなりのインパクト!」と、珍しく滑らかな口からオヤジギャグも飛び出した。

181センチの長身から繰り出すショットの精度は師匠の折り紙つきだ。田中秀道はいつも言う。
「でもお前は考えすぎるとダメになる。ただ、空に向かって思い切り打てばいい」。
この日3日目はさっそく緊張の18番で教えが守れず、「まだ自分にその力はない」と、身につまされた。

前日2日目にも語ったように、このプロ日本一決定戦で勝つには「僕には心技体、すべてが足りない」。3つを揃えるために、まずやるべきことは、「こういう場で優勝争い出来る位置にいて経験を増やし、少しでも向上させていくこと」と、思っている。
「今週はその第一歩。次につながる決勝ラウンドになるんじゃないか」と謙虚に、メジャーで初の最終日最終組に挑む。

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